「第35回東京国際映画祭」TIFFシリーズ部門に出品され、ワールドプレミア上映が実施されるなど、世界からの注目も集まっているヴィレッジ・サイコスリラーの傑作「ガンニバル」が、柳楽優弥主演の実写ドラマとして2022年12月28日に配信スタート。1月4日には第3話「凶弾」が配信され、主人公・阿川大悟(柳楽)が左遷されるきっかけとなった過去の事件の全容が明らかに。激しい暴力描写や拷問の様子など過激なシーンを織り交ぜながら描かれた。(以下、ネタバレを含みます)
同作は、2018年に連載がスタートした二宮正明のサスペンスコミック「ガンニバル」を実写ドラマ化したもの。都会から遠く離れた山間にある供花村(くげむら)が物語の舞台で、ある事件を起こして村の駐在として左遷された警察官・阿川大悟が主人公。一見、犯罪とは無縁に思われるのどかで平和な村だが、一人の老婦人の奇妙な死をきっかけに、大悟は少しずつ村の異常性に気付いていく。
主人公である、狂気の世界へと誘われていく警察官・阿川大悟役を柳楽が務め、供花村を支配する後藤家次期当主・後藤恵介役を笠松将、大悟の妻・阿川有希役を吉岡里帆、後藤家の元当主で恵介の祖母・後藤銀役を倍賞美津子と演技派俳優陣が脇を固め、監督を片山慎三、脚本を大江崇允が務める。毎週水曜にディズニープラスの「スター」で世界同時配信中だ。
“あの人”に襲われ病院送りに
第2話で、前任の駐在・狩野治(矢柴俊博)の娘・すみれ(北香那)から“食葬”の話を聞き、大悟は狩野が後藤家の者に捕らわれていると確信。後藤家の敷地に単身で踏み込むと睦夫(酒向芳)らと衝突し、大乱闘の末に公務執行妨害でしょっ引くところまで行ったが、「後藤家で起きたことは“あの人”の裁量で決まる」という言葉を聞いた直後、大悟は“あの人”こと謎の大男に鎌で切り付けられ、意識を失った。
第3話は、現在の供花村の出来事と過去の大悟の“ある事件”が織り交ぜられた構成になっていて、冒頭は過去のシーンが映し出された。警察官の大悟は犯人を追い詰め、情け容赦なく何度も何度も殴りつける。素手だからこそ暴力性が際立つ衝撃的なカットだ。そこから大悟の“狂気”がひしひしと伝わってくるが、娘・ましろ(志水心音)は学校の授業参観で披露した作文で父親が“暴力警察官”だとストレートに批判するシーンも。
現在のましろは失語症で表情もなくしてしまった女の子なので、第1話・第2話ではどんな性格なのかは分かりづらかったが、この時の様子を見ると、物怖じせず発言や行動ができて、他人を思いやる気持ちの強い優しい子だということが伝わってくる。その作文を見せられた大悟は「文才がある」とうれしそうにするが、ましろに恋心を抱く前科者・今野翼(三河悠冴)の姿を見かけると、ましろの願いもむなしく、今野を追いかけ、蹴りを入れまくる“暴力警察官”の本性をさらけ出してしまう。
後日、今野の張り込み中に女児が今野宅に入っていったという情報が入り、大悟が駆けつけると、中にいるのはましろだった。ガラス窓を破って中へ侵入、というところで現在の供花村の場面に切り替わった。
病院のベッドの上で大悟が目を覚ますと、妻の有希(吉岡)や供花村の人たちがいて、倒れていた大悟を病院に運んでくれたらしい。恵介(笠松)をはじめ、後藤家の者が何人かで見舞いに来たが、“あの人”については「そげなヤツは後藤家にいねえよ」と言ってその存在自体を認めず、それが大悟の疑念を深めることになった。
わざわざ追い掛ける必要があるのか？
有希とましろを警察に保護してもらい、逃亡した後藤睦夫たちを追うことを決めた大悟。二人の荷物を取りに派出所に戻ると、狩野治の娘・すみれが待っていて、父親が最後に携帯電話で話した番号を大悟に教えた。それは衛星電話で、かけてもつながらなかったらしい。
この一連の時間に関して蚊帳の外だった有希。前の駐在が失踪して、後任の大悟が死にかけた。危険が待ち受けているのにわざわざ追いかける必要があるのか？と、我慢の限界を超えて大悟を問い詰める。しかし、ましろが夜中に抜け出した日に“切られた人間の指”を持っていたことと、そしてそれが“失踪した狩野さんの指じゃないかと思う”と告げられると、他人事じゃないと察し、ましろのためを思い、大悟の言葉に従って警察に保護してもらうことに。
署長にこれまでの経緯を打ち明け、前任の狩野について改めて調べてみることを約束してもらう。「君は被害者だから捜査から外す。家族と一緒にいてあげなさい」と言われ、渋々ながらそれに従うのかと思われたが、ましろが持っていた指を調べた鑑識医の中村一(小木茂光)から連絡があり、直接話したいから病院に来てほしいと言われ、会いにいくことになったが、それは睦夫たちによる大悟をおびき寄せるための罠。中村は睦夫たちに全ての指を折られる拷問を受け、脅されていた。ここの描写も容赦ない感じで、睦夫の残忍さを際立たせている。
