生田斗真が、5月11日に都内で開催された主演映画「渇水」の完成披露舞台あいさつに登場。共演の門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子、山崎七海、柚穂、メガホンをとった高橋正弥監督、企画・プロデュースの白石和彌と共に撮影秘話を語った。
生田が水道局の職員役
同映画は1990年文學界新人賞受賞、「第103回芥川賞」候補となり注目を浴びた河林満の小説を原作とし、「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」などを手掛ける映画監督の白石が初めてプロデュースした作品。メガホンをとるのは、岩井俊二監督作品「ラストレター」や、宮藤官九郎監督の数々の作品で助監督を務めた高橋で、生田が水道料金を滞納する家庭の水を停める業務(=停水執行)に就く、市の水道局職員の岩切俊作を演じる。
今回は市の水道局の職員ということで、いわば“普通の人”を演じている生田は「今回割と特殊な撮影方法で、この2人の女性陣(山崎と柚穂)には脚本が渡ってなくて、その日その日に監督が“口立て”(口頭の打合せ)でせりふを与えてその場でお芝居をしてもらうスタイルだったんです。だから、ある日突然、僕と磯村勇斗(演じる職員・木田)が家の前にやって来て『水道止めます』っていう状況で、リアルな生々しいお芝居が求められていた。僕自身も彼女たちのシーンが浮かないように、全体的に生っぽい芝居を求められていたのかなとは思っております」と、演じる上で意識していたことを明かす。
また、山崎や柚穂とは役柄上、一定の距離を置いてくれという指示があったそうで、生田は「(話し掛けられても素っ気ない感じで)すごい罪なことをしている、申し訳ない気持ちはあったんですけど、裏を返すと水道局員が“停水執行”するという時の痛みも似たようなものがあったのかなと。でも、心苦しかったです。もっとお話したかった」と胸の内を打ち明けた。
磯村、生田と初共演も「関係性が自然と…」
そんな生田演じる岩切の同僚である木田を演じる磯村は、これが生田と初共演だそうだが「クランクインの時からいろいろと趣味の話をさせてもらったりとか、そういうところからちょっとずつお互いジャブを打つというか(笑)。何に興味があるのかな?って探り探り、様子を見ながらお話していく中で、岩切と木田という関係性が自然と出来上がってきましたね」と自然な会話をつむぎ、役の上でもいい関係を築けたことを伝えた。
そして社用車で一緒に移動するシーンが印象深かったという磯村に対し、生田は「(車内は)狭い空間だから近くにいざるを得ない。撮影もずっと長くて、運転席にいる磯村くん、助手席にいる僕がずっとグルグル回りながら撮影したので、たわいない話をたくさんしたし、暑かったよね」と回顧。
“暑かった”というワードを受け、磯村は「この撮影は雨が多かったんですけど、唯一晴れたぐらいの時のシーンだったんですよね。だから印象的だったというのもありましたよね…」と話すと、生田は「そう。『渇水』という映画なので全然雨が降らない…いつになったら雨が降るんだ、っていう話なんですけど、撮影中はずっと雨だったの。その原因が生田斗真なんじゃないか、ってさっき(舞台)袖でみんなに詰められて!麦ちゃんなんか『私、(雨のせいで)撮影できなくて家と3往復しましたよ!』って」と苦笑い。
それに対し、門脇は「しかも撮影場所が群馬とかすごく遠かったんですよ。この撮影で一番大変だったのはそこですね。3往復の車の時間(笑)」と振り返る。しかも舞台あいさつの前には都内で雷雨もあったことから、生田は「どうしよう(笑)。これ公開するのは6月2日…?雨降るぞ!気を付けろ」と、観客に呼び掛けていた。
映画「渇水」は、6月2日(金)より公開。
◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)
※山崎七海の「崎」はタツサキ、高橋正弥の「高」はハシゴダカが正式表記