宮藤官九郎「季節のない街」主演は池松壮亮、共演に仲野太賀・渡辺大知
池松壮亮<半助(田中新助)役>コメント
宮藤官九郎×山本周五郎×どですかでん×ディズニープラスという、ものすごい組み合わせへの参加に、心がときめきました。
宮藤さん、横浜聡子さん、渡辺直樹さん、素晴らしい3名の監督たちと、素晴らしいスタッフキャストとともに、あの街で2カ月半を過ごしました。
もうなくなってしまったあの街のことを、今なお恋しく思います。あの街にはどうしようもない人たちしかいませんが、みんなたいして抜け出そうともせず、むしろしっかり生き生きと楽しんでいます。
またあの街には良くないことばかりが起こりますが、目に見えない大切なことによって、底辺からのイマジンによって世界がつなぎとめられ、ささやかに美しく輝き続けます。時代の大きな変化のなかで、物語の力と、あの街を信じて、無くなってしまうことへのささやかな抵抗になればと思いました。
あるところに、街があった。宮藤官九郎版「季節のない街」どうぞご期待ください。
仲野太賀<タツヤ役>コメント
宮藤さんが「どですかでん」?主演が池松壮亮?しかもディズニープラスで?
なんだそれ、そんなのぜったいおもしろいに決まってるじゃん!と、お話をいただいた時に興奮したのを覚えています。ふたを開けてみると、邦画を代表するようなアベンジャーズみたいなスタッフ陣と、最高にすてきな俳優が集まって、仮設住宅で2カ月半の缶詰状態。
右見ても左見てもおもしろい人ばかりで、才能の大渋滞。俺、このなかでやってけるかな…と思いつつも、与田タツヤというすてきな役を演じさせていただきました。
これは人間讃歌の物語です。笑って泣いて、踊って、ぶち切れて。悲喜こもごもの全部入りです。どうか楽しみにしていてください!
渡辺大知<オカベ役>コメント
宮藤さんの脚本作品に初めて参加させてもらったんですが、読むことが楽しくて、ずっとワクワクしながらページをめくっていました。次から次へと個性あふれる魅力的なキャラクターが生き生きと大暴れしていて、毎話、心がじんと熱くなりました。
人間だから、生活がおびやかされたり、予期せぬ出来事が起こった時にはビビったり、悲しくなったり、なやんだり、不安になったりすると思うんですが、このドラマに出てくるひとたちは、みーんな不思議なほどにゲラゲラ笑っていて、生命力に満ちているんです。
最初はヘンテコだなぁなんて思ってたんですが、今はこの「街」が愛おしくて仕方ないんです。日々、落ち込むこともそりゃありますが、そんな時こそ寄り添ってくれる、やさしい作品になっているかと思います。
宮藤さんと、その想いに賛同したたくさんの方々の魂で作った作品。参加できて光栄でした。見ていただいた方にも、この「街」を愛してもらえたらうれしいです。
宮藤官九郎<企画・監督・脚本>コメント
60年前に書かれた原作小説「季節のない街」を、今、ドラマ化する意味についてずっと考えていました。何しろ黒澤明監督の「どですかでん」という大傑作が、すでに存在している。安易で独りよがりなオマージュになってはいけない。
そこで舞台を仮設住宅に置き換え、黒澤版では割愛されていたふたつのエピソード「半助と猫」「親おもい」を復活させ、それぞれの主人公である半助とタツヤ、さらに「がんもどき」に登場する酒屋の青年オカベを加え、3人の若者の視点で「街」を描くことで、この難関をクリアしようと考えました。
半助には、池松壮亮くん。一方的にファンなので、逆に声をかけづらい存在でしたが、一緒にやるならこれだ!という強い思いが届いたのでしょうか。絶望と悲しみを内に秘めつつ、決して重くなりすぎず、時に観客の目となり、街の変人達を絶妙な距離感で見守る半助。彼のバランス感覚こそ、このドラマの要だったと思います。どこか冷めていた半助が、ラストに向かって変貌していく様も見どころです。
タツヤ役には、仲野太賀くん。たったひとりの青年部。母親の愛情に飢えた、承認欲求高めな“親思い”の次男坊。ある意味、もっともかわいそうな男なんですが、太賀くんの持つ、天性の明るさとコメディセンスのおかげで、打たれ強い、そして、立ち直りの早い、愛すべきキャラクターになりました。
オカベ役は渡辺大知くん。厳密には街の住人ではなく、近所の酒屋の息子です。好きな女の子目当てに街に出入りしている。この街で、唯一の恋愛要素を、時に切なく、時に陽気なストーカーすれすれの執拗さで、おおむね切なく演じてくれました。
3人がたがいを尊重し、刺激しあいながら、現場でどんどんふくらませてくれました。彼らのおかげで、2023年版の「季節のない街」は、まぎれもなく、今を描くドラマになったと思います。