松本まりかが、6月20日に都内で開催された映画「アイスクリームフィーバー」の記者会見に、吉岡里帆、モトーラ世理奈、詩羽(水曜日のカンパネラ)、千原徹也監督と共に登壇。千原監督からオファーを受けた時の心境や、監督への熱い思いを語った。
映画「アイスクリームフィーバー」とは
同映画の原作は、川上未映子の短編集「愛の夢とか」(講談社文庫)内に収録されている「アイスクリーム熱」。「映画制作をデザインする」をコンセプトに気鋭のアートディレクター・千原監督が初めて映画のメガホンをとり、吉岡がアイスクリーム店のアルバイト・常田菜摘を、同店の常連客である作家・橋本佐保をモトーラ、菜摘の後輩アルバイト店員・桑島貴子を詩羽、そしてアイスクリーム店の近所の銭湯に通う、仕事が生きがいの高嶋優を松本がそれぞれ演じる。年齢も仕事もさまざまな4人の女性たちの憧れ、興味、行為、執着が交錯する新感覚ラブストーリーとなっている。
「たぶん一番後のオファーだったと思う」という松本は、「とても規格外な話だと思うんですけど、ある夜に千原監督から直接お電話を頂きまして。それまでほとんどお仕事したことはなかったんですけど、(千原監督が)カンヌ国際映画祭から帰って来た飛行場での電話で、『今カンヌに行ってきて、カンヌでいろいろ見て、いろんな自分の中の常識とかそういうものをぶち壊された。こういうことをやらなくちゃいけないんだってことを飛行機の中でずっと考えていた時にまりかさんの顔が浮かんだ。ぜひこの役に協力してほしい』と言われたんです。それを聞いた時点で私はどんな話か何も知らなかったですけど、これはもうやらねばいけないな、というものを感じました」と、オファーを受けた時の経緯を明かす。
続けて「決定打になったのは、その時の熱い思いもそうなんですけど、台本の最初に“前書き”みたいなものがあって。それもまた規格外なんですけど、どのくらい自分がこの作品を立ち上げてから紆余曲折あり、作るまでに至ったかという挫折と絶望感、こういうことが必要で、もっともっと自由な発想で映画を作ってみたらどうか…と。自分で全てをやるしかないというところからの情熱と衝動でここまで来るという、感動の文を見た時に、台本をまだ読んでなかったですけど、『やります』とお答えしました」と、監督の熱い思いを受けて“即決”したそう。
千原監督の熱意に「本当に私は感動しています」
それからも演出はもちろん宣伝から脚本作り、キャスティングなど熱量たっぷりに“映画制作をデザインする”千原監督の奮闘ぶりを目の当たりにしてきたという松本は、「その様を見ていて本当にそれは感動するものがあって、今までにない映画の形なんじゃないかと。こんなふうに情熱と信念でここまで映画を作れるんだ、って目の当たりにしてきたこの1年くらいだったんです。私はすごく感動していますし、この新しい試みの作品を見てもらうことによって、千原さんの生き様みたいなものが見えてくるんじゃないかと。そういうところまで感じ取ってほしいです。いや、全然感じられなくてもいいんですよ(笑)。“考えるな、感じろ”じゃないですけど。そういう映画ですかね」と、熱い思いを伝えた。
松本の熱い言葉を受け、千原監督は「ありがとうございます」と感謝を述べ、「思い出しました。カンヌも呼ばれて行ったわけでも何でもなく、“世界の中の日本”ってどういうことなのかを見に行ってみたくて、チケット取って、カンヌの時期に行ったという感じなんですけど(笑)」と回顧。
実際にカンヌを訪れてみて「日本はどういう扱いで、世界に対してどういうふうにアプローチをしていて、僕たちが世界に向けてやらなきゃいけないことは何なのか。もっともっと映画ってお金のこととかそういうことじゃなくて、もっと自由にやんないと終わっちゃうよっていうか。そういうものを感じて帰ってきたんです」と明かし、「それでまりかさんに(日本に)着いてすぐ電話した、という流れでした」と、松本に“規格外のオファー”をした経緯を振り返っていた。
映画「アイスクリームフィーバー」は、7月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイント他にて全国公開。
◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)