9月5日に第11話が放送された「なれの果ての僕ら」(毎週火曜深夜0:30-1:00ほか、テレビ東京系ほか)。「後悔していません。もう一度同じ状況になっても、俺は撃ったと思うから」とネズ(井上瑞稀)が語り、事件に幕が引かれる直前の状況が明らかになる。実験の主催者・みきお(犬飼貴丈)の母である亜夜子(雛形あきこ)の意外な行動の果てに、事件収束のカウントダウンが始まった。(以下、作品のネタバレが含まれます)
「なれの果ての僕ら」とは
同ドラマは、「週刊少年マガジン」および「マガジンポケット」で連載・配信された内海八重の漫画が原作。同窓会に集められたクラスメート23人を襲うのは、誰も予想だにしていない監禁劇だった。極限状態に追い詰められたときに暴かれる、人間の“狂気”を克明に描いた衝撃のサスペンス作品だ。
主人公のネズ(真田透)を演じるのは、NHKドラマ「麒麟がくる」などに出演したHiHi Jets・井上。さらに監禁事件の首謀者であり、“人間の善性”への興味から残虐な実験始めた夢崎みきおという難しい役柄を、実力派俳優・犬飼が演じる。
最愛の恋人を殺した真の犯人
「お前だったんだな」。前回のラストで発言の矛盾を見抜かれ、ネズの恋人である桐嶋未来(大原櫻子)を殺害した犯人として銃口を向けられることになった早乙女菊也(菅生新樹)。憎しみにゆがむネズとは対照的に、その表情は静けさに満ちていた。
菊也の矛盾とは、葉月依莉奈(紺野彩夏)と一緒に「俺と葉月がいた場所からは屋上へ行く階段が見えた。誰も屋上へは行ってない。そもそも誰も来てない」という発言。これは水野カイト(矢花黎)らが言う“トイレまで探しにいったが部外者は誰もいなかった”という状況からはありえない。校舎の構造上、トイレの前まで行った水野らの行動を菊也が知らないはずはないからだ。
沈黙を貫く菊也に、ネズは段々とヒートアップしていく。しかし「答えろ!」という絶叫にも、菊也は恐ろしいまでの無表情で「そうだよ。俺がやった」と答えるのみ。詰め寄って未来を殺した理由を問い詰めるものの、菊也はただ「嫌いだっただけだよ」と静かに吐き捨てる。
緊迫感が一気に高まっていくなか、「未来に謝れ」というネズの要求にも一切動じない菊也。全員が「ネズくん一回落ち着いて!」「早乙女、何とか言えって!」と紛糾する中、ネズが銃の引き金を引く直前に「待って」の声がかかる。声の主は、依莉奈だった。
依莉奈は菊也と一緒にいて、かつ菊也が矛盾した証言を口にした際も訂正していない。「違う、俺が…俺が殺した!」と初めて声を荒らげる菊也を押しのけて、「お前が未来を殺したのか!」とネズの銃口が依莉奈に向かう。
そこで依莉奈が明らかにしたのは、坂本大聖(倉本琉平)が死亡した経緯だった。2日目の朝、頭部をひどく損傷した状態で見つかった大聖。実は依莉奈は彼がみきおと共謀していることを知り、屋上で「みきおを止めて欲しい」と依頼したのだと言う。
しかし、すでに人死にが出ている大掛かりな事件の共謀犯である大聖は、要求を拒否。依莉奈の首を絞めにかかった。間一髪、振り回した髪飾りが目に直撃し、難を逃れることに成功した依莉奈。だが激痛とショックで混乱した大聖は、足を滑らせて転倒したことで事故死してしまう。
完全に正当防衛だが、クラスメートを殺害する側になってしまったことは事実。いまだ何が起きるかわからないみきおの実験中ということもあり、偶然その場に駆けつけた菊也が証拠隠滅を試みた。彼は“女のよう”と言われていた学生時代、依莉奈によくかばわれていたという恩義があったのだ。
しかし、そのときのもみ合いで落とした依莉奈のイヤリングが、未来が死ぬきっかけを作ることになる。