ジョーは“分かりやすい子”
――今回のジョーという役柄をどのように作り上げていきましたか?
先ほども少しお話しを出したのですが、今回は関西弁の役柄でもあったので、そこの準備はもちろんしていました。ですが、ジョーの空気感とか役にどう近づけていくかというのは、あまり考えていなかったです。 現場で感じたものを、どう吸収してジョーに吹き込んでいくかを1番大切にしていました。
役のことはもちろん自分なりに一生懸命考えていくけど、ジョーが出す空気感というのは現場でしか出せないんです。自分がプラン立てていたものが、原田監督と全く違うプランで、現場で直すとなったら多分焦っちゃうので…。できるだけフラットな状態で現場に行って、言われたことに対して自分なりの解釈をして吐き出していくというか。その作業がどの現場でも多いです。
――フラットな状態で現場にいけるようになったのは、経験を重ねていくうちにといった感じなのでしょうか。
最初からフラットでした。役について考えるようになる前から、あまり役を引きずるタイプではないです。けど、衣装着て現場行くとそこで切り替わるというか…。多分スイッチのオンオフが激しいんだと思います。
やはりグループの仕事になると切り替えないとやっていけないので、小さい頃からずっとその環境でやっていたからこそ、フラットでいようという気持ちが自分の中にあるのかもしれないですね。
――山田さん自身は、ジョーについてどんなふうに思っていましたか?
ジョーは「自分サイコパスですから」みたいなことを言っていますけど、ただのアホでかわいらしい弟ですよね。だけど、後先考えずに突っ込めるタイプなので、いつか自滅しちゃうんじゃないかなという危なっかしさもあります。
お姉ちゃんのことになると、何振り構わず特攻隊長みたいな感じで突っ込んでいける潔さがあるのに、 自分のことになるとすごいビビリで、本当に0か100かの人です。お姉ちゃんのことになれば100になるけど、自分のことになると別に0でもいいやっていう。分かりやすい子なんだろうなっていう印象でした。
実際の姉とは“友達”のような関係性
――今回は安藤サクラさんとのバディ感と姉弟感も映画の魅力の1つだなと感じました。安藤さんとは、現場で積極的にコミュニケーションを取っていたのでしょうか?
お昼休憩とかもお弁当を一緒に食べるんですけど、安藤さんがセリフ言い始めたら、 僕も勝手にお弁当を食べながらそこでセリフを言ってみるみたいな、役としてしか対話をしていなかったです。あんまり僕も経験したことない不思議な現場でした。
――では、安藤さんから演技の面で学んだことはありますか?
もう見ていたら全部全部勉強になるので、芝居しているときは余計なことは考えていないんですけど、それこそ映画見終わった後とかは「やっぱり安藤サクラってすごいな」って僕は第一に思いましたね。安藤さんから学ぶことは、僕ら世代の役者だったらみんなあると思います。
――その安藤さん演じるネリ姉にジョーはすごく懐いていて、かわいらしい姿が印象的でした。山田さん自身にもお姉さんがいますが、実際のお姉さんと山田さんはどのような関係性ですか?
もう友達みたいな感じです。姪っ子がいるので、姪っ子をお出かけに連れていこうとすると姉もついてくるじゃないですか(笑)。だから一緒に出かけるみたいなこともありますね。
2023年9月29日(金)全国公開
配給:東映/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント