GACKTと二階堂ふみがW主演を務める映画 「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」が11月23日より公開となる。本作は、2019年に公開された映画「翔んで埼玉」の続編だ。
自虐と郷土愛が融合する「飛んで埼玉」
原作は、ギャグ漫画の金字塔「パタリロ!」で知られる魔夜峰央の同名漫画。80年代に発表された作品だが、2015年に単行本として復刊されたことをきっかけにSNSで大きな話題を呼び、30年という月日を経て累計発行60万部を突破した。
舞台は、関東地方の代表格である埼玉。近年は大宮や浦和が「SUUMO住みたい街ランキング」でも上位にランクインするなど、自然と都市が調和した魅力ある街だ。一方で“ダサイ”と“埼玉県”を合わせた造語「ダ埼玉」が流行した80年代から、なぜだか垢抜けないイメージが付きまとう。そんな埼玉をディスりながらも、郷土愛に溢れた県として讃えているのが『飛んで埼玉』だ。
物語は、現代を生きるさいたま市在住の一家が娘の結納のために東京へ向かう車中から始まる。するとラジオから、埼玉県人の愛と誇りをかけた、華麗なる伝説の物語が聴こえてきて……。
その昔、埼玉県民は東京都民からひどい迫害を受けており、通行手形がないと東京に出入りできず、強制送還されていた(という設定)。そんな中、隠れ埼玉県民である麻実麗(GACKT)がアメリカ留学から帰ってきて、東京の超名門校・白鵬堂学院に転校。学園のトップに君臨する都知事の息子・壇ノ浦百美(二階堂ふみ)と当初はぶつかりながらも、手形制度撤廃を目指し、ともに東京へ立ち向かうストーリーとなっている。
まさかのボーイズ・ラブ要素も!
映画は原作を大幅に脚色。埼玉の自虐ネタをふんだんに追加し、群馬、千葉、神奈川など関東諸県を絡めながらスケールアップを図った。「埼玉なんて言っているだけで、口が埼玉になるわ!」「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」など、臆することなく埼玉を揶揄する台詞の数々や、豪華俳優陣が大真面目に茶番劇を繰り広げている様に涙が出てくるほど笑える。
また、一部の人に刺さりまくったのが麗と百美の関係だ。そもそも埼玉県民を迫害する立場にあった百美が埼玉のために立ち上がったきっかけは、麗からキスされたから。プライドが高く傲慢な百美が麗のキスで骨抜きにされ、少しでも麗の役に立ちたくて一生懸命頑張る姿が何とも愛らしい。最初は全く相手にしていなかった麗もそんな姿を見て百美に信頼を寄せていく。
そこに立ちはだかるのが、壇ノ浦家に使える執事の阿久津翔(伊勢谷友介)だ。埼玉と同じく手形制度撤廃を狙うライバルの千葉県民である彼はことごとく麗と百美を邪魔する。その中で、大きな見どころとなるのが阿久津と麗のキスシーンだろう。あくまでも百美が夢の中を描いたワンシーンではあるが、ここでしか見られないGACKTと伊勢谷の濃厚で美しいキスに思わずドキッとすること間違いなし。『ベルサイユのばら』好きには堪らない、豪華絢爛な世界で繰り広げられるボーイズ・ラブがそこにある。
さらにスケールアップした続編の見どころ
埼玉県民の寛容さに助けられながら興行収入37.6億円のヒットを記録し、空前の埼玉ブームを巻き起こした「翔んで埼玉」。その続編となる映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」は、まさかの関西が舞台となっている。
埼玉解放戦線の活躍により、平穏な日常を手に入れた埼玉民。しかし、麗たちは日本埼玉化計画を推し進めるため、早くも次の一手に出る。それは、海なし県である埼玉に海を作ること。無謀とも言える理想を追い求める先で麗が出会うのが、今作で新たに登場となる滋賀の貴公子・桔梗魁(杏)だ。
桔梗は関東だけではなく、関西圏でも存在する通行手形制度を撤廃するために活動する滋賀解放戦線のリーダー。彼女との出会いをきっかけに、麗は滋賀県人、和歌山県人、奈良県人が大阪府知事の嘉祥寺晃(片岡愛之助)、その妻の神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川﨑麻世)に非人道的な扱いを受けていることを知る。そしてこの事態は、日本全土を巻き込む史上空前の東西対決へと発展していくというのだ。
何やら前作よりもさらにスケールアップしていることが予想される本作。公式サイトの勢力図には、「奈良県:1300年以上、時が止まったままで大量の鹿が生息している」「滋賀県:琵琶湖が大半を占め住む陸地が無いとされる県。ナンバープレートの姿形からゲジゲジと揶揄されている」「三重県:かつて近畿圏であったが中部地方へと逃げて行った幻の県」などと記載されており、埼玉のみならず関西も巻き込んだディスりも健在のようだ。また、予告編では儚くも美しいその容姿から“滋賀のオスカル”と呼ばれる桔梗と麗のラブシーン(?)も映し出されており、百美との三角関係も見どころとなるだろう。
そんな期待が膨らむ本作の公開を記念し、民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」では主演の二人をはじめ、杏や加藤諒、和久井映見といた豪華キャスト陣が出演したフジテレビの名作ドラマが続々と配信中だ。また本作の武内英樹監督がこれまで演出した「デート〜恋とはどんなものかしら〜」や「ルパンの娘(シーズン1)」も配信されているため、映画と合わせてこちらも一緒に楽しんでほしい。
■文/苫とり子