佐原「これは俺自身の問題。俺にはたった二文字が長く感じる」
佐原は過去に後輩に告白したが報われずに恋することを諦め、その後に体も壊して水泳も諦めたのだった。
過去を「怖い」と言ってトラウマを抱える佐原に土岐は寄り添い、「あんたは心のどっかで俺を信じてねぇ。誰だってダメな部分の1つや2つあるに決まってんだろ。そんなんあっても俺は幻滅なんかしねぇ。少しは信じろよ」と言う。
佐原と土岐は湖のそばの遊具に座り、佐原は「信じてないとか、そういうのじゃないんだ。そもそも信じてなかったら、ああいう話しないっつーか…」と話す。「そっか」と土岐は答えるが、ふと思い至って「え?え?…え?あの」と動揺してからわざと明るく「もしかして、さてはお前、俺のこと好き…」と言いかけると、佐原が慌てて口をふさぐ。「声でけぇよ」と佐原が言うと、土岐は「え!」と驚く。「とっくに気づいてると思ったんだけどな」と佐原が言うと、「お前やることが回りくどいんだよ」と土岐。
「さっきも言ったけどお前のこと信用してないとかじゃないんだ。これは俺自身の問題。俺にはたった二文字が長く感じる」と佐原が視線を落とすと、土岐は「さっきのノーカン!いくらだって待っててやるよ。そんときが来たら俺も誠心誠意、全力で答える」と言うのだった。
佐原と土岐の思いが通じ合った瞬間に胸がキュンとなり、土岐の真っすぐで純粋な姿にほれぼれとしてしまった。
◆構成・文=牧島史佳