佐原「俺がこうして俺でいられるのはお前のお陰だ。ありがとな」
「猫戸先生、大丈夫か?すっげぇ具合悪そうだった」と土岐が言うと視線を落とす佐原に、何かあったのかと土岐が尋ねる。佐原は言いづらそうに「猫戸湊は、その…俺の昔好きだった男だ。思いがけず再会して俺も動揺してる。だいぶ克服したと思ったんだけど、正直しんどい。巻き込んでごめん」と言う。「いい!お前のせいじゃねぇし、俺も気にしてねぇ」と土岐が顔をそむけてつっけんどんに言うと、佐原は「じゃあなんでキレてんだよ」と聞く。
土岐は「佐原に腹たってるわけじゃねぇ。佐原が苦しんでるのに、変に勘ぐってた自分に腹立ってんだ。でも、今ちゃんと言ってくれたから良しとする」と佐原の目をまっすぐに見て伝える。佐原は安心したかのように土岐の膝に寝そべって「そこは俺に腹立てなさいよ。昨日は動揺してて気持ちの整理ついてなかった。でも、それに後ろめたい感情はない。それに今、俺がこうして俺でいられるのはお前のお陰だ。ありがとな」と言うと、土岐は照れているようすで目を逸らして「うん」と答える。保健室の外では中のようすを伺っていた猫戸が立ち去っていった。
土岐が服を着ていると佐原は「土岐、俺がまた弱ってたら元気もらっていいか」と聞く。土岐は盛大に佐原の背中をパーで叩き、「いくらでも注入してやるよ」と笑うのだった。
土岐に心を許し、弱音を吐いて甘えている佐原に胸がときめく。そんな佐原を土岐らしいまっすぐさで受け止めているようすも感動的だった。SNSでも「保健室のシーンキュンキュンした~」「毎回キュンシーンがちゃんとあるんだけど、今回のは間違いなく過去イチだった」「保健室の内側のドアノブになりたかった」「佐原先生可愛すぎる、、めろい」とコメントが寄せられた。
◆構成・文=牧島史佳