倫子は家治が気になりだす
お品は、倫子の髪を手入れしながら、今日は一段と髪が艶やかで美しいと褒める。美しさの秘密は御渡りにあると確信しているお品に、倫子は少し寂しそうに何もなかったことを告げる。
家治なりの優しさを感じながらも、家治のことがよく分からない倫子は複雑そうな顔を浮かべていた。しかし、第1話のようにおびえている様子はなかった。家治の冷たい面や優しい面、寂しそうな面などを見て、どれが本当の姿なのかと、混乱していることを打ち明ける倫子。
無意識に家治に引かれている様子の倫子に、上様のことがもっと知りたいのですねと告げるお品同様にほほ笑んでしまった人もいただろう。
倫子は家治のつらい過去を知る
そんなほっこりしたシーンも続かない。第3話でも倫子への嫌がらせは激しさが増した。家治に抱かれなかったことを知った高岳ら女中の間で“添い寝姫”と呼ばれたり、目の前で家治に側室を設けるよう迫られたりと、さまざまな出来事が倫子を傷つける。
しかし、倫子は自分がされたことよりも、「側室は必要ない」と言い放った家治が気になっていた。お品にどうしてそんなことを言うのかと話す倫子。お品は女中らから聞いた家治の悲しい過去を打ち明ける。
全ての話を聞いた倫子は、自分よりももっとつらい思いをしてきたのかもしれないと家治へと思いをはせるのであった。その目には同情の色はなく、ただ家治に寄り添いたい思いがあふれていたように思う。
その後、家治の母親の命日を知った倫子は、少し早いが供養を行っていた。そこへ家治がやって来て、何をしているか尋ねた後に、「なぜそなたが?」と問われる倫子。倫子は包み隠さず、やって来た理由を述べ、続けて「めおとですので」と告げる。
倫子の回答に、何も言わずに去る家治。いつもと変わらない様子に見えるが、この場面は、倫子が家治の心を溶かしていくための重要なシーンになった。