雪男の芝居は嘘の下手さの塩梅がポイント
――過去のシリーズを振り返って、もっとも記憶に残っているシーンはどこになりますか?
福山 燐に対して心を閉ざすシーン全般が印象深いです。特に最初の頃に多かったんですが、とってつけたような作り笑顔で「心配ないよ」と言って燐をドーンと突き放すじゃないですか(笑)。最初にその感じをたくさん演じて、身体に馴染ませることができたのは大きかったなと思います。雪男の本質の部分ではないんですけど、あの対応は身体に染み付いた癖のようなものですよね。でも雪男は嘘をつくのが下手だから、燐は騙せていても、その向こうにいる視聴者は騙せていなくて、雪男が嘘を付くと僕らはみんな気づくじゃないですか。雪男を演じるうえでその塩梅ってわりと大切なんですけど、今の僕が普通に演じると、もっと自然な嘘になってしまって、視聴者まで騙してしまいかねないんです。だから最初のころにこの感覚を自分に覚えこませておいてよかったなと思いますね。燐に嘘をつくシーンに関しては、今でも当時の感覚を思い出しながら演じることが多いです。
――たしかに雪男は誰に対しても心を閉ざしていますが、燐以外はなんとなく気づいていますよね。
福山 そうそう、騙されているのは燐だけで(笑)。ただその一方で、視聴者も騙さないといけないセリフもあったりするんですよ。例えば『島根啓明結社篇』では、第2話で正十字騎士團の本部に召集された雪男が、最後になにやら契約するじゃないですか。雪男はそれがどんな契約か知っていますけど、視聴者には詳しく示されていなかったりするんですよね。そうした場合、セリフに意味を込め過ぎると明らかに怪しく感じるし、かといってフラットになりすぎると雪男の感情と合わなかったりもして。7年前だったら頑なに自分の解釈を信じたんですけど、今はそういう思い込みは捨てているので、それ故に迷う瞬間もあるんです。ただこれは、志摩廉造やメフィストなど裏のあるキャラには共通して言えることかもしれませんね。
――『島根啓明結社篇』では序盤に杜山しえみとの絡みがあったり、燐も加わってのダンスシーンもありました。ここでの雪男は素のような気がしますね。
福山 雪男が年相応な感情を表に出せるのって、しえみ絡みしかないんです。だから、しえみからのダンスの誘いを断ったあとに「くそっ!!」って嘆くシーンは、明らかに雪男の本心だと思います。とは言え、僕の場合は少しやりすぎるきらいがあるので、「面白くなり過ぎ」と言われてやり直すことも多いんですけど(笑)。
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