歴史上の人物の生き様や、当時の出来事を描いた時代劇。日本でも昔から数多くの作品が放送されてきたが、実は中国でも人気を博している。中でも、“時代劇×ラブコメ”を掛け合わせた「ラブ史劇(ロマンス時代劇)」は、日本でも注目を集めるほど魅力が満載。そこで本記事では、そんな中国の“ラブ史劇”の魅力や見どころをはじめ、オススメの作品も紹介していく。
女性をメインキャストに…従来の時代劇から進化を遂げた“ラブ史劇”
時代劇とラブコメ、時にはファンタジー要素も取り入れた中国発祥のラブ史劇。最近は様々な動画配信サービスで配信していることもあり、中国国内のみならず、世界的に新規ファンが急増中。
中国でラブ史劇が制作され始めたのは、1990年代後半くらいからと言われている。それまで正統派だった“時代に忠実な時代劇”が変化を遂げ、時代背景を反映させたファンタジー要素やラブコメ要素を取り入れる作品が増えていったのだ。
そんなラブ史劇は、女性がメインキャストの作品が多い点も魅力の一つだ。これまでの時代劇では男性の勇ましい姿にフォーカスした作品が多かったが、女性にも焦点を当てたことで視聴者層を広げ、繊細な恋愛模様を色濃く描くことで作品により深みが加わったと言える。
例えば2019年公開の「恋恋江湖 ~運命の愛の見つけ方~」では、イケメンとの恋を夢見る少女をジャン・ジェンユーが演じ、イケメン2人に囲まれた環境下で揺れ動く乙女心を描き、好評を博した。また2021年公開の「宮廷恋仕官 ~ただいま殿下と捜査中」では、スー・シャオトンとワン・ズーチーがダブル主演を務め、恋愛経験ゼロの上官とのシンデレララブストーリーが描かれている。
さらに「絶世令嬢~お嬢様はイケメンがお好き!?~」(2019年公開)は、イケメンとゲームに目がない主人公が数百年遡るタイムスリップをし、イケメンたちに囲まれる…という“逆ハーレム”作品。時代劇×ラブロマンス×ファンタジーという新しいジャンルを獲得したラブ史劇となった。
こうして、“中国時代劇”と一口に言ってもそのジャンルは多岐にわたるようになり、主役の女性を応援したりイケメンを堪能したりと、ラブ史劇の登場によって様々な楽しみ方ができるようになったのだ。
そんな中、動画配信サービス「Hulu」にて7月2日(火)より見放題独占配信される「星花双姫~天に咲き、地に輝く恋~」(2023年公開)は、ぜひ注目したいラブ史劇の一つ。本作もファンタジー時代劇として放送され、中国の大手配信サイト「YOUKU」のドラマランキングで1位に輝いたこともある話題作となっている。
正反対な姉妹がそれぞれの環境で強く生きる「星花双姫~天に咲き、地に輝く恋~」
“時代劇×ラブロマンス×ファンタジー”の要素をふんだんに詰め込んだ本作。人間界の王のもとに誕生した姉妹・心優しい青葵(ホー・シュエンリン)と活発な夜曇(リー・ランディー)の2人が物語の中心人物として描かれる。
姉の青葵は人々の賛美を集め、天界の王子・有琴(チェン・シンシュー)のもとに嫁ぐことになる。一方の夜曇は人間界では忌み嫌われていたため、悪党の巣窟である沈淵界に嫁ぐことが決まった。しかし輿入れの当日、あろうことか姉妹の輿が途中で入れ替わってしまう…。そのことに戸惑う姉妹だったが、慣れない環境下でも生き抜こうと各界の王子と真剣に向き合い、2組のカップルは愛を育んでいく――というストーリーだ。
本作が人気を集める理由の一つとして、性格の異なる2人の姉妹の“絆”が挙げられる。姉の青葵は人々の祝福のもと誕生し、妹の夜曇は両親からも冷たく当たられ幽閉され育ってきた。まるで“シンデレラ”のような設定のため姉妹はすこぶる仲が悪いのかと思いきや、姉の青葵は冷遇される妹を気にかけ、輿が入れ替わった際も“妹が幸せな天界で過ごせるなら”と自身は沈淵界に留まることを決意した。一方、妹の夜曇も純粋で騙されやすい性格の姉を心配し、逆境に立ち向かう勇敢な性格で青葵を守ろうと奮闘する様子が描かれている。
そんな2人は“自分の腕に字を掘ると相手の腕にその字が浮かび上がる”という痛みを共有できる特殊能力を持っており、その能力を通してやり取りする姿からは、お互いのことを大切に想う気持ちがひしひしと伝わってくる。
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