“死”の魅力を表現する脆い女性を熱演!
本作は舞台上に10個のキューブが積み重ねられ、それぞれが部屋となっている。その中で、“幻想の部屋” “天空の部屋”“血の部屋” “神秘の部屋” “影の部屋” “ヘビの部屋”と称された6つの部屋の中に、松雪をはじめ6人の女優が1人ずついて、1人のダンサーが部屋を行き来するという演出だ。松雪が担当するのは、“影の部屋”にいる、人生を終わらせようとし、死について語る女性という難しい役どころ。
「どのお部屋も美術がすごいと思います。存在すべき女性が居るべき空間にちゃんと落とし込んであるし、その計算された感じがすばらしいなと思います。キューブの空間の中でいろいろな人が生活しているんですけど、私の部屋と上の部屋の人は生きている時間軸も違うし、起きている関係性も何もかもが全然違うので、不思議な感じです。すごく強烈な部屋を担当するので、とても苦しいし大変です。意外とみんなで合わせる歌の部分が、一番難易度が高いかも。壁があるし、呼吸のタイミングを体に入れていくしかないですね。すごく美しいハーモニーがセッションで生まれつつあるので、そこはとても格好いいものを見つけられるような予感がしています」と期待をふくらませる。
最初は不安と恐怖しかなかった…
また、稽古を始める前と後では作品に対する印象が随分変わったという。「『ピュタン』を読んだ時、そこからは理解できなかった領域がたくさんありました。そこに描かれている彼女の言葉と表現方法は想像をはるかに超えるほど強烈で、苦しくて、読み進めるのがやっとという感じでした。そして、『なぜ彼女は死を選択したのだろうか?』と考察すればするほど、自分自身も苦しくなってきました。これを表現という領域に落とし込んでいくには、『どういう道たどったら道が見いだせるのだろうか?』と苦悩しましたね。とんでもないプロジェクトが始まったなと思って(苦笑)」。
稽古場が始まりマリーの作品に懸ける思いを知った松雪は、「ネリーの知性をもっとたくさんの人に知ってもらいたかったという思い、女性であること、女性として生きること、そして女性がありのままの姿で存在してはいけないような風潮というか…女性に対する社会の偏見、女性というものを表現するということを聞きました。稽古が始まる前は怖かったですが、マリーさんが『今はそれぞれの俳優がアーティストとして存在して、またこのカンパニーはこのカンパニーで新たな物を生み出していきたい』とおっしゃっていました。マリーさんやみんなとセッションして、どういう物が生まれるか楽しみですね」と笑顔を見せる。
■原作:ネリー・アルカン
■翻案・演出:マリー・ブラッサール
■出演:松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、奥野美和、霧矢大夢
■日程:11月4日(土) ~11月19日(日) @東京・天王洲 銀河劇場、11月23日(木・祝)@JMSアステールプラザ 大ホール、11月25日(土) ~11月26日(日) @北九州芸術劇場 中劇場、12月5日(火) ~12月6日(水) @ロームシアター京都 サウスホール、12月9日(土) ~12月10日(日) @穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
【HP】http://www.parco-play.com/web/program/gekijo2017/