「コンビ仲が悪かった」南海キャンディーズが初単独ライブを開催できた理由【SPインタビュー】
南海キャンディーズが結成15年にして初めて挑んだ単独ライブ「他力本願」のDVDが好評だ。今年2月、東京グローブ座で2日間にわたって開催された同ライブでは、書き下ろしの新作漫才に加え、ラジオ番組「JUNK 山里亮太の不毛な議論」(TBSラジオ)のリスナー応募の中から選ばれたネタや、初の本格コントにも挑戦。南海キャンディーズの集大成にして新境地ともいえるステージを繰り広げたこのライブを、山里亮太、しずちゃんの2人に、改めて振り返ってもらった。
ラジオのリスナーがいなかったら、南海キャンディーズは終わっていたかもしれません(山里)
――コンビ結成15年にして初の単独ライブ。挑戦してみて、いかがでしたか?
しずちゃん「とにかくすごい楽しかったです! 幕が開いたら、お客さんがあったかくて、私たちを受け入れてくれて。でも、稽古してる段階では、一度にたくさんのネタをやるっていうこと自体、あまり経験がないし、『果たしてちゃんとネタ覚えられるかな?』って、不安や怖さはあったんですけど、それも最初だけでしたね」
山里亮太「僕はとにかく、南海キャンディーズでやる漫才はこんなに楽しいのか!っていうことを実感しました。長く漫才をやってきた中でも最高に楽しい時間でしたね。2日間の公演だったんですけど、その楽しさが1日目、2日目と、どんどん更新されていく感じ。何かもう、『楽しいのは俺だけ?』って思っちゃうくらい(笑)。でも、何よりもやっぱり、やりやすい雰囲気を作ってくれたお客さんに感謝ですね」
――初めての単独ライブは、なぜこのタイミングだったんでしょうか?
山里「コンビ仲が悪かったからです」
しずちゃん「アハハハ!」
山里「まぁまぁ、ぶっちゃけると、僕の野心のせい、と言いますか。長い間、南海キャンディーズのためにネタを作るよりも、自分そのものを磨くことに時間を費やすべきだと思い込んでいたところがあって。あと、女優業で忙しいしずちゃんへの嫉妬も大きいんですけどね(笑)。でも、しずちゃんは単独ライブをやりたい気持ちは、コンビを結成してからずっと心の奥にあったみたいで…」
しずちゃん「(深くうなずく)」
山里「だけど、コンビ間でそういった話をすることを、僕が避け続けてきたわけですよ(笑)。でも、ここへ来て、そのしずちゃんの思いがそろそろ頂点まで来てるような気がして」
――「しずちゃんの思い」を知るきっかけが何かあったんですか?
山里「すごいシンプルな話で、マネージャー経由で聞きました(笑)。しずちゃんが心を開いている歴代のマネージャーたちから、『しずちゃんが(単独ライブを)やりたいって言ってるよ』って、たびたび聞いてはいたんですよ。それに加えて、2016年から『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)に挑戦するにあたって、僕がやってる『不毛な議論』のリスナーのみんなにも、すごく励ましてもらったんで、その恩返しに何かしたいっていう気持ちもあって。要は、僕のリスナーへの感謝の思いと、しずちゃんの単独をやりたいっていう思いが、ちょうど合わさった感じですね。そもそもこのライブをやることになったのは、しずちゃんがラジオにゲストで来たとき、生放送中に僕から『単独やろうか』って持ち掛けたのがきっかけなんです」
――今回、「他力本願」というタイトル通り、ラジオのリスナーからの投稿ネタを演じたのは、そういういきさつがあったんですね。
山里「『初めての単独なんだから、てめえらだけのネタでやれ』って怒られそうですけど…。果たして僕ら2人だけの力量でライブを乗り切れるのか、シンプルに怖かったっていう(笑)。考えてみれば、南海キャンディーズとして戦うときに助けてくれたのは、いつもラジオのリスナーだったので。初単独ライブでも、リスナーと一緒に戦いたかった、というか」
しずちゃん「よくこのシステムを考えたなって思いますね。採用されるリスナーさんもうれしいでしょうし」
山里「本当に『不毛な議論』という番組は、ずっとリスナーに助けられてるんです。今よりも僕が頼りない時期から、ずーっと。今回だって、ネタを書いて採用されても、もらえるのはただのバッジですよ?(笑) なのに、めちゃくちゃ時間をかけて、南海キャンディーズの漫才の新たな形を探してくれて。2人で舞台に立つときは、あくまでも“漫才コンビ”として舞台に立つんだぞ、っていうのがリスナーからのメッセージ。そんな大切なことを教えてもらいました。ラジオのリスナーがいなかったら、もっと早い段階で南海キャンディーズは終わっていたかもしれませんね」
しずちゃん「ゲストで『不毛な議論』に呼んでもらったときも、リスナーさんがとても喜んでくれて。南海キャンディーズっていうコンビを求めてくれてるんだっていう気がして、すごくうれしかったです」
発売中 / 3780円(税込) / よしもとミュージックエンタテインメント
取材・文=小島研一
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