深田晃司「一緒にお仕事していて楽しかったです」
――筒井さんの演技をご覧になって、変更したシーンなどはありますか?
基子が市子に謝罪にくるシーンで、基子が映っているインターホンの映像を市子が消すという演技なのですが、そこでは当初、激しいアクションにするということは全く想像していませんでした。
リハーサルで筒井さんが獣のように飛びかかるようにしてインターホンを消しに行くという身振りをされて…。素晴らしい演技だと思い、これでいきましょうと変更しました。筒井さんは常にこちらの想定を超える演技をしてくださいましたね。
――基子役の市川実日子さんや、和道役の池松壮亮さんの印象はいかがでしたか?
市川さんは、演技だけでなく存在感で基子の影の部分を演じてくださったなという印象です。特に、市川さんはマイペースな感じの演技がとてもよかったですね。基子にふさわしい演技プランでした。
常に基子が市子を翻弄して、自分のペースで関係を進めていくような、基子が主導権を握っているという感じが想像以上に市川さんによって作られたなと思います。
あと、現場では非常に明るくてムードメーカーのような存在だったので、一緒にお仕事していて楽しかったです。
池松さんは大人っぽい方ですね。年齢を詐称しているのではないかと疑うくらい(笑)。まだ20代とは思えない異様な落ち着き方でした。
また、池松さんをキャスティングしたことは僕の中での変化でした。脚本の段階で和道は、「何も分かっていない、ちゃらちゃらした軽薄な若者」というイメージだったのですが、それだと市子と和道のシーンが作品から浮いてしまうのではないかなと感じていました。
しかし、池松さんが和道を演じてくださることで、ある種の重みを持たせることができ、市子とのデートシーンでは、大人の雰囲気が出せるようになるなと思いました。池松さんも、脚本を超えた演技をしてくださいましたね。
――この作品を楽しみにしている方々にメッセージをお願いいたします。
多くの方々に見ていただきたいと思いますが、特に映画館がない地域や映画を届けられなかった各地の皆さんに見ていただきたいなと思います。
筒井さんをはじめ、良い俳優しか出ていない映画ですので、この映画を通して素晴らしい俳優たちと出会ってください。
「よこがお」あらすじ
初めて訪れた美容院で、リサ(筒井)は「和道」という美容師を指名した。数日後、和道(池松)の自宅付近で待ち伏せ、偶然会ったふりをするリサ。近所だからと連絡先を交換し、和道を見送った彼女が戻ったのは、窓から向かいの彼の部屋が見える安アパートの一室だった。
リサは偽名で、彼女の本当の名前は市子。半年前までは訪問看護師として、その献身的な仕事ぶりで周囲から厚く信頼されていた。なかでも訪問先の大石家の長女・基子(市川)には、介護福祉士になるための勉強を見てやっていた。基子が市子に対して、憧れ以上の感情を抱いていたとは思いもせず。
ある日、基子の妹・サキ(小川)が行方不明になる。すぐに無事保護されるが、逮捕された犯人は意外な人物だった。この事件との関与を疑われた市子は、ねじまげられた真実と予期せぬ裏切りにより、築き上げた生活のすべてを失ってゆく。
自らの運命に復讐するように、市子は“リサ”へと姿を変え、和道に近づいたのだった。果たして彼女が心に誓った復讐とは何なのか。
2020年1月22日(水)発売
Blu-ray&DVDレンタル同日開始
Blu-ray特別版(本編BD+特典DVD) 5,800円(税抜)
DVD 3,800円(税抜)
出演:筒井真理子、市川実日子、池松壮亮/須藤蓮、小川未祐/吹越満
監督・脚本:深田晃司
発売・販売元:ポニーキャニオン