視聴者の方へ、一石を投じてみるというやりがいを感じた
――今回、テレビ朝日のドラマ初主演を務めるお気持ちは?
今、(言われて)実感しました。すごく感慨深いですね。これから撮影なら「背筋をピッと伸ばして、引き締めてやっていきます!」って意気込みを言えるんですけど…もう、撮影は終わってしまったので(笑)。
ですが、こういった作品で主演をさせてもらえるのは光栄なことですし、ちょっと気持ちのいい終わり方ではないですけど、多くの方にこの作品を見ていただきたいなという思いです。
――そんな初主演を務める「微笑む人」という作品について、どう思われましたか?
もう犯人が分かっているような状態からスタートして、なぜその人は、こんなことをしてしまったのかということを尾野さん演じる晶を通して見ていくという展開が、なかなか珍しいなと思いました。
人って、第一印象だけでその人の全てを完結してしまうこともあるし、簡単にその人をいい人、悪い人というのを決めてしまうのはとても容易だと思います。
“でも、そういうことじゃないよね”というのが、この作品のベースラインになっていると思うので、そこは興味深かったですね。
その点で視聴者の方へ、一石を投じてみるというやりがいは感じました。
――共感しづらい部分が多い印象の仁藤を演じる上で、やりにくさや難しさはありましたか?
仁藤という人物のつかみどころのない感じや、何を考えているか分からないという部分を自分の中でどうやって消化していけばいいんだろうというのはあって、作品に入る前はたくさん考えました。
でも、彼の中の殺害した理由は、「本、本棚」。僕が「いや、(殺害した理由は)そうじゃないだろう」と思うことはまた違うなと思っていて、仁藤と正面から向き合って相対していけば、気持ちもとんでもなくややこしくはならないと感じました。その積み重ねでしたね。