自分の実力を感じて「悔しい」と思うことはある
――だんだんと共感していくことができたんですね。
今回、衣装やメークがとにかくかわいいんです。おしとやかでナチュラルなお嬢様の時のナオと、夜、男の人と出会うためにバーに行く時の、本当に自分がしたい格好をしているナオで、大きく変わる。衣装やメークの力に助けられて、自分がナオという役に引き寄せられていくように感じる瞬間もありましたし、自分が共感できる部分では、ナオを自分に寄せていくような感覚があったりもしました。
――日比さんも仕事で人前に出る時とオフの時では変化がありますか?
それこそメークや洋服の力ってすごいなと思います。いつもヘアメークの力に助けられていますね。普段は本当にメークをあまりしないので、すっぴんの状態でいることが多いんです。外に出るときは「日焼け止めぐらい塗りなさい」と、よく母に言われるくらい(笑)。でも、お仕事の時はメークさんやスタイリストさんがきれいにしてくださるので、それがスイッチのようになっているかもしれないです。
「誰も私のことに興味がないな」と感じると悔しい
――芸能界に長くいることで、本当の自分を我慢するなど、悩みを抱えることもありましたか?
自分の実力を自分自身で感じてしまった時に、「悔しい」と思うことはすごくあります。芸能活動をしていると「今、誰も自分のことを見ていないな」と思う瞬間があるんです。「誰も私のことに興味がないな」と感じてしまうと、「自分にもっと実力があったら」「経験や知識があったら」「もっとこういう顔だったら」「こういう体だったら」と悔しく思ってしまいます。
――そういった感情は、何か作品に出演している時に感じるのでしょうか?
例えば、私が出演した作品の第一話が放送される時など「あまり興味を持たれなかったらどうしよう」と思ってしまうんです。「すごく良かった」でも「あんまりだった」でも、反響があれば「興味を持たれていた」ということだと思うんですが、そもそも見てもらえなかったら意味がないというか。
この仕事って、見ている方の評価の影響が大きいお仕事だと思うので、それはすごく感じます。だから、そうやって悔しい思いをするたびに、もっといろいろな知識や経験を身に付けたいと思いますし、もっとたくさんの人と出会って自分自身をより知りたいなと思います。