TVerといえば“見逃し配信”のイメージがあるが、各テレビ局協力のもとオリジナルコンテンツも配信されているのをご存知だろうか。たとえばバラエティでは、「ロンドンハーツ」「○○のクセがスゴいネタGP」「上田と女が吠える夜」と、現在3番組が公開。民放公式テレビ配信サービスであるTVerは、なぜオリジナルコンテンツの配信を始めたのか。その背景には今、テレビが抱えている問題点、そしてテレビの力を“最大限”発揮しようとする“チャレンジ”があった──。
TVerオリジナルコンテンツ誕生の背景は?
TVerがサービスを開始したのは2015年。在京民放キー5局が共同出資した唯一の民放公式OTTサービス(Over-the-Top media service/インターネットを介して視聴者に直接提供されるサービス)としてスタートした。 見逃し配信が主だったが、2022年4月にリニューアル。民放5系列が足並み揃えてのリアルタイム配信がスタートし、同時にオリジナルコンテンツの配信も始まった。
「その際、テレビCMに笑福亭鶴瓶さんを起用させていただき、『もっと、今をつなぐテレビへ。』キャンペーンを実施しました。テーマは“もっと、テレビを身近に感じてもらう”。たとえば自分の部屋でも、キャンプをしていても、場所にとらわれずスマホなどで楽しめる新たな視聴の形を、放送局とTVerとで一緒に進めてきた形です。TVerでもリアルタイムで番組が観られるので“NOW ON AIR”をもじって“NOW ON TVer”というキャッチコピーを。そしてテレビの拡張された姿であるTVerは、ユーザーが本当に”今”見たいもの、作り手が“今”見せたいものがある場にしたい。それは何かと考えた結果、TVerでしか観られない人気番組のオリジナルを毎週配信することにしました」(TVer担当者、以下同)
基本、取り上げる番組はTVerから提案。TVer内での再生数、TVer側のスタッフ含め、周囲の“これが今、観たいはず”という意見、強いファンを持っている番組に声がけをした。「ロンハー」はその代表格。「クセスゴ」に関してはネット上で切り抜き動画が軒並み再生数をのばしており、それをTVerが正式なコンテンツとしてお届け。この流れは、「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)の再現VTRの切り抜き動画がバズり、「~さんま御殿!!」側から公式YouTube動画として配信するようになった流れと似ている。「上田と女~」は2022年4月スタートの新番組で、SNSにも力を入れており、配信でも同バラエティを成長させたいという番組側の想いにTVerが共感したことで選ばれた。