どことなく“元ヤン”っぽさも
キャラクターに焦点を当てて振り返ってきたが、大悟の妻・有希と娘・ましろを演じた吉岡と志水心音も、その演技で多くの視聴者を魅了した。ましろ役の志水に関しては、笑顔が絶えず、学校で“父親は暴力警官”だと告発するような作文を発表するなど、自分の意思をしっかりと持った女の子を見事に演じていたかと思えば、事件のショックから失語症になり、笑顔が消えた女の子もリアルに演じていた。言葉と表情を使わずに演技することは非常に難しいことだと思われるが、その感情のない演技に思わず見入ってしまった。
そして有希役の吉岡。スイッチが入ったら振り切れてしまい、思い込んだら止められない。そんな夫・大悟を止められるのは有希だけ。彼女が何気なく発した言葉は真理をついていたりすることも多々あり、終盤、大悟に「捜査を楽しんでない?」と言ったが、まさに図星だったと思われる。供花村の人たちと友好的にしたいと思って、本意ではないだろうが村の人たちの集まりにも積極的に参加するなど、大悟と違って協調性があって、多くの人に好かれるタイプの女性を演じてみせた。言葉遣いの端々が元ヤンっぽいところも含めて、吉岡はこれまで演じてこなかったタイプの役を演じ、役者として一つ扉を開いた感がある。
村の闇の部分を追いながら物語を見ていくのもいいが、これらの濃いキャラの人物たちに注目して、改めて見直してみると新たな発見があるかもしれない。
最終話が配信済みとはいえ、水曜の夕方になると「ガンニバル」の最新話が配信されているんじゃないかと確認してしまいそうだ。シーズン2の制作を期待しつつ、“供花村の公式サイト”を閲覧したり、ジョルダン「乗換案内」で“供花村”を入力して検索すると衛星電話がかかってくるような体験をできたりと、ガンニバルの世界に入り込む気分を味わう方法が用意されているので、それらで“ガンニバルロス”を埋めるもの良いかもしれない。
◆文=田中隆信
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/gannibal
▼供花村ホームページ
https://dcam.disney.co.jp/disneyplus_jp/gannibal/kugemura/about.html
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