旅を終えた暁に会えた憧れの人、故・坂本龍一氏に“夢”を語る
そこからは『D-DAY』を制作する姿を惜しげもなく見せてくれる。例えば、2020年に撮影・配信されたBTSオリジナルの配信旅行番組「IN THE SOOP」の現場でも作っていたことが明かされる。また、それから2年後の2022年6月には、制作に行き詰まったSUGAが、2021年に「IN THE SOOP BTS ver.シーズン2」で使用した邸宅になじみのクリエーターやミュージシャンを集め、ディスカッションしながら曲作りに打ち込む姿も披露。BTSはSUGAに限らず、ワールドツアー中も常に宿泊先で曲作りをしていることで有名だが、こんなにも多くの場でソロアルバムの準備をしていたことに驚かされる。
こういった制作風景に加えて、今作にはスタジオライブもインサートされる。披露するのは、過去作の「People」「Daechwita」に加え、『D-DAY』からは“韓国国民の妹”IUをフィーチャリングした「People Pt.2」や「Polar Night」「Haegeum」「AMYGDALA」を。さらには3月に死去した坂本龍一氏とのコラボ曲「Snooze」も歌手のWOOSUNG(ウソン)と共に力強く歌い上げている。
実は2022年9月、日本に来日していたSUGAは、坂本氏とひそかに対談していた。幼い頃に見た映画「ラストエンペラー」で坂本氏の曲に感銘を受けて以来、彼を敬愛していたSUGAは、なかなか本人の顔を見られず、ピアノを弾くシーンでは珍しくミスをするなど、至極緊張していたようだ。普段は冷静沈着で、”爆イケ”のパフォーマンスをするSUGAも好きな人の前ではこんなにも愛らしくなることにグッときたファンも多いのではないだろうか。そんなSUGAが、今作の目的である音楽での夢を坂本氏に語っている。それは旅を通して見いだした夢か、元から持っていた夢を言葉にしたものかは分からないが、憧れの人に夢を語る姿にカタルシスを覚える。
ポップアイコンであるBTSのSUGAと、相反する存在として存在してきたAgust D。BTS=防弾少年団は韓国の若者に向けられる社会的偏見や抑圧から彼らを守ることをテーマに誕生したが、Agust Dは楽曲を通してもっと過激な問題定義を繰り返してきた。「数万の思考を整理し、歌詞にしてきた」と自負するSUGAの言葉は、ファンでなくとも多くの人の心に響くだろう。
◆文=及川静
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/suga-road-to-d-day/
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