峰子「他人でも身内ってことはあると思うのよ」
賢二は母の体が悪いのかと心配するが、峰子は否定して、自分の店の客の話を始める。その客が息子を亡くしたことから峰子は賢二を亡くしたときのことを考え、史朗と顔を合わせていなければ史朗が賢二のただの友人としてしか見送れないのではないかと思ったのだった。
「筧さんは賢二のことはもう、ご自分の身内同然と思っていてくださるんでしょ?」と峰子が尋ねると、史朗は一度賢二を見てから「はい」とうなずく。「一度でも家族全員で顔を合わせておけば何かあったとき、筧さんも私たちと一緒に賢二を見送れると思ったんです」と峰子が続ける。
「いや、でも、私の立場はご家族とは…」と困惑して遠慮する史朗。すると、峰子は「他人でも身内ってことはあると思うのよ」ときっぱりと言う。賢二は「お母ちゃん…」と言って声を詰まらせるのだった。
峰子の言葉があたたかく心に染みて、またまた号泣させられてしまった。
◆構成・文=牧島史佳
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