秋元真夏のいびきの悩みにアドバイス 睡眠学の権威に教わる”睡眠の質”向上テクニック<最強の時間割>
民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」シーズン2のLesson6が12月8日(金)に配信スタート。睡眠研究の世界的権威である柳沢正史が講師として登場し、睡眠不足大国である日本の状況に警鐘を鳴らした。
「最強の時間割」とは
「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまな業界のトップランナーを講師として招き、学生や社会人に「知っておいてよかった」と思える“考え方のヒント”を届ける民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」の完全オリジナル番組。
2022年12月から約半年にわたり、放送された同番組が好評を受けて帰ってきた。シーズン2は11月3日よりスタートし、シーズン1に引き続きラランド・ニシダが副担任役、ラランド・サーヤが生徒役。そして新しく生徒役として元乃木坂46の秋元真夏が参加する。
睡眠不足がもたらす健康被害とは?
今回の講師は睡眠学者の柳沢正史。番組冒頭、柳沢の「みなさん、ちゃんと眠れていますか?」という問いかけに、それぞれが睡眠事情を明かす。毎晩深夜の2〜3時に寝て、朝の6〜7時に起きることもザラだという秋元。一方、睡眠時間が6時間を切ると「頭がボーッとする」というサーヤの言葉に、柳沢は「平均7時間くらいの睡眠を必要とする人がほとんど。6時間だと足りない」と語る。6時間睡眠を約10日続けると、酩酊状態とほぼ一緒になるという研究結果もあるそうだ。
そうした人生の3分の1を費やす睡眠の正しい情報を発信してきた柳沢は筑波大学の医学部を卒業し、現在は同大学の教授を務めている。31歳の時には医学研究のために渡米し、睡眠覚醒を制御する物質「オレキシン」を発見。今後ノーベル賞受賞が有力視される研究者に贈られる「クラリベイト引用栄誉賞」と「ブレークスルー賞」を受賞した。
柳沢の研究により、オレキシンの不足がナルコレプシー(過眠症)を引き起こす原因になっていることが分かっただけではなく、オレキシン作用を少し抑えて眠りやすくする処方睡眠薬のベルソムラやデエビゴも実用化された。一方、医師の処方なしで購入できる市販の睡眠改善薬は、抗ヒスタミン薬というオレキシンとはまた別の覚醒物質を抑えるもの。だが、数日で効かなくなることがほとんどだという。
そんな睡眠の世界的権威である柳沢は、「本当に国がやばい状況と思ってます」と警鐘を鳴らす。世界33か国の平均睡眠時間の調査データによると、日本は33か国中最下位の睡眠不足大国なのだ。柳沢は、睡眠不足の結果を「メンタル・メタボ・認知症・ガン」と4つのワードで説明していく。睡眠が少ないとメンタルに不調をきたし、最悪の場合はうつ病になることも。さらに睡眠不足になるだけで摂取カロリーが増えるため、「睡眠不足はダイエットの最大の敵」と語る柳沢。例えば、2週間4時間睡眠を続けると内臓脂肪が11%も増加するそうだ。
他にも仕事や勉強のパフォーマンスも低下し、感情のコントロールがうまくいかず利他的な行動ができなくなるなど、何もいいことがない睡眠不足。柳沢は「日本人は昼間眠くなるのを仕方がないと思っているが、世界標準だと異常」とも語る。ヨーロッパでは、昼間にうとうとしていたら体調不良と見なされることが多いという。
単なる睡眠不足と不眠症の違い
「睡眠不足は十分な睡眠を取らない生活習慣。対して、不眠症は眠りたいのに眠れない状態」と両者の違いを挙げる柳沢。そこで、生徒たちは自分がどちらなのかを判断するために、柳沢が用意した不眠症チェックを受けることに。そこには「寝つきが悪い」「眠りが浅くて何度も目が覚める」「朝早くに目が覚めて二度寝ができない」「十分眠った感じがない」という4つの項目が並ぶ。驚くことに、ベットに入ってから10〜15分で眠れないと不眠症の傾向があるというのだ。
さらに、柳沢は「一番良くないのは眠れないのにベットに留まること」と意外な事実を明かす。なぜならば、そうすることで体が寝床を眠れない場所と認識してしまうのだという。では、どうすればいいのか。解決方法として、柳沢は「15分眠れなければ、一旦ベットから出て眠気を待つ」ことを挙げる。
一方、7時間以上睡眠時間を取っているにもかかわらず、十分眠った気がしない場合も。その場合、“睡眠不安”に陥っている可能性を指摘する柳沢。睡眠不安は「8時間は眠らなきゃいけない」といった睡眠時間への固定観念で眠りの質が低くなるというもの。そうした睡眠不安による不眠は、逆に床上時間を短縮することで改善される場合もあるというのだ。
必要な睡眠時間は人によって異なり、ほぼDNAで決まっているとのこと。そのため、数百人に1人と言われるショートスリーパーになろうとして、訓練しても無駄なので「考え直して欲しい」と柳沢は言葉を強める。また朝型・夜型も体質によるもので、訓練で変えることは困難だという。
睡眠学者が教える快眠のための環境づくり
そんな中、眠りが浅いという悩みを打ち明けるたけうちほのか。原因を探るうちに、テレビや電気をつけっぱなしで寝ていることが明らかになった。そこから番組は、快眠のための環境づくりについての話題に。まず、柳沢は「寝室は“暗くて静かで朝まで適温に”!」と簡単にポイントを挙げる。適温を保つためにも、エアコンは夏も冬も朝までつけっぱなしにした方がいいそうだ。
それに加えて、「照明が明るすぎる家が多い」と指摘する柳沢。強い光は覚醒作用があるため、夜になったらリビングも薄暗くして眠りを誘うことが大事だという。柳沢はイメージとして、「雰囲気の良いレストラン」を挙げた。
お悩み相談では、秋元がいびきについて告白。中学の修学旅行でいびきがうるさいと指摘されたという。通常は仰向けになった状態の時にかきやすい、いびき。睡眠時無呼吸症候群になると酸素不足を解消しようと頻繁に覚醒反応が起きるため、自ずと睡眠の質が下がる。その場合の対処法として、左右が高い枕で横向きに寝る習慣をつけることが挙げられた。本などを枕の下に引いて、強制的に左右の高さをあげるのもいいそうだ。
ここまで様々なポイントが挙げられたが、大事なのは睡眠の質を見える化すること。柳沢は睡眠中の脳波を図れるデバイスも開発している。
最後に番組恒例の「かっこいい大人とは?」という質問に、柳沢は「自分のやりたいことをやっている大人」と回答。自身も心からやりたい睡眠の研究を続けている柳沢は、「歳を取ると背中にぶら下がるものが増えてくるが、その中で自分のやりたいものを見極められる大人がかっこいい」と語った。