チーフディレクターが語る堂本光一&井上芳雄の「SONGS」裏側
2人のミュージカル人生を総括するものにしたい
発端は約1年前。NHKの町田麻美チーフディレクターの元に、「堂本光一と井上芳雄が新作ミュージカルで共演する」という情報が舞い込んだ。それがことし大成功を収めた「ナイツ・テイル-騎士物語-」だ。2大プリンス共演の報に、町田CDはすぐに腰を上げた。
町田チーフディレクターと光一は「ポップジャム」('00~'02年※光一司会出演、NHK総合)以来の旧知の仲。光一が主演・演出を務める舞台「Endless SHOCK」に魅了され、'10年には、舞台裏に初めて密着したドキュメンタリー番組「―すべてはステージのために―」(NHK総合)を制作・放送した。また井上芳雄も「SONGS」には'16年10月に出演。当時プロデューサーとして番組作りに携わった町田チーフディレクターは、生で聴くその声に「いまだかつて感じたことのない衝撃」を受けた。
「そんなすごい2人なので、『ナイツ・テイル―』きっかけで作る番組ではありますがそれだけを扱うのでは2人の魅力を伝え切れないなと。ミュージカル界で共にセンターをひた走ってきた2人の歩みを描き、これまでのミュージカル人生を総括するようなものにしたい、というのが当初からの私の狙いでした」
というわけで披露する楽曲は「ナイツ・テイル―」からの2曲に加え、両者それぞれの代表的舞台作品から1曲ずつが選ばれた。
「『―SHOCK』『エリザベート』の曲もお届けできることはとてもうれしいです。『―SHOCK』の曲をテレビで披露するのは多分今回が初めて。私は10年近く前『ザ少年倶楽部プレミアム』(NHK BSプレミアム)にいたころから『―SHOCK』の曲を放送したいと切望してたんですけど、全然扉が開かなかったんです。理由は『舞台にしかない空気感をテレビで伝えるのは難しい』という光一さんのこだわりだったと聞いています。だから今回なぜOKしてくれたのか正直分からないんですよ(笑)。もしかすると、より多くの方に『―SHOCK』という作品を届けたいという気持ちが生まれたのかもしれません」
また「ナイツ・テイル―」の楽曲の演出については、舞台の本番後に東宝関係者を交え、2人と1時間半超の打ち合わせ。限られた時間内でいかにこの作品の魅力を伝えるか、徹底的に話し合ったという。
全4曲中、最後に歌われる予定なのは「宿敵がまたとない友」。「ナイツ・テイル―」を象徴する、愛すべきライバル関係をうたい上げた一曲だ。
「今回の共演は2人が本当にイーブンな関係でなければ成立しなかったと思うんです。本人たちはライバル同士とは思ってないでしょうけど、互いに一歩も引けを取らない、『ナイツ・テイル―』はそんな2人のために生まれた作品だと思っています」
番組では「ナイツ・テイル―」の稽古から千秋楽までを取材した映像や、2人の貴重なトークも届ける。
「日本でも近年ミュージカルが一般的になってきましたよね。お二人のような方の尽力があって、ようやく少しずつ『誰でも楽しめるエンターテインメントだ』ということが伝わりつつある。そういう時期にこの番組をお届けできてとても光栄です」
夜11:00-11:30 NHK総合
制作統括=矢島良/チーフディレクター=町田麻美/出演=堂本光一、井上芳雄ほか