Pが語る、今だから話せる「家族ノカタチ」の裏側
第88回ドラマアカデミー賞で、作品賞における読者票で1位を獲得し、さらに主人公の香取慎吾、ヒロインの上野樹里ともにその演技に読者の反響が高かった「家族ノカタチ」(TBS系)。そこで、今だから話せるドラマの裏話を韓哲Pに聞いた。
――ドラマ終わっても反響がすごいですね。
正直、数字はよくなかったので、不思議な感じです。数字的なことで言うと、悔しい思いはしましたし、苦しい思いもしました。そういう中で、最終回が終わった後の反響はすごく大きくて、「あれ、経験ないな」って。
ありがたいことに、肯定的なものが多く、共感していただいたのか、内容に対して、作っている僕らですら、あらためて再発見させられるような、熱い反響がすごく多かったです。
反響に励まされたというか、救われた思いもしましたし、ありがたいなって思います。本作では、音入れをして、ドラマが完成してから泣いて、皆さんの反響をHPの掲示板やツイッターなどで読んで泣いて…。これまでドラマを作ってきて、こんなに泣いたことはなかったんじゃないかなと思います。
――香取さんがクランクアップで言われた「こんなにクランクアップがうれしくないのは初めてです。寂しいです」という言葉が印象的でした。
僕もびっくりしました、あんなことおっしゃるんだって。香取さんは僕らにそんなに気負った姿を見せるわけでもないし、クールな印象でもありますが、実はすごくストイックな方。
自分のやる気みたいなものを決して表に出さない人だから、その香取さんがそういうふうに言われるということは、作品に対する気持ちがすごく持っていてくださったんだろうなというのをあらためて感じました。
――作品について、香取さんと直接お話されたことはありますか?
作品への思いみたいなものを全面に出す人ではないと思うんですが、この作品に対する思いを強く持ってくれているんだなという瞬間は多々ありました。役のことや内容のこととかもあんまりたくさん言う人じゃないだけれども、すごく大事なポイントみたいなところは言ってくださることがあって、それはすごくなるほどと思うことが多かったです。
――具体的には何かありますか?
最終回の台本ができて、香取さんに読んでいただいたんです。「面白い」と言っていただいたんですけど、香取さんに1点だけ、「最後のところは葉菜子(上野樹里)と二人の方がいいんじゃないかと思います」と言われたんです。
最後のシーンはもともと、大介(香取)が一人で、一人の時間も大切だと、ビールを飲みながら、お疲れ自分!というような形で終わる予定でした。でも、香取さんは「一人で飲んでいてもいいのですが、そこに葉菜子がつかつかっとやってきて、かみ合ってないんだけれども、結局一緒にいることで、居心地がいいと感じてしまう。最後にいつもの大介、葉菜子の感じで、2人でビールを飲んで終わってもいいんじゃないかなと思いました」って言われたんですね。
なるほど!と思いました。そして、すぐ脚本の後藤(法子)さんと相談して、ラストシーンだけ書き直しいただいて、ああいうラストになりました。
――ラストシーン、本当に好評でしたよね。
香取さんにもそのシーンの撮影が終わった後に、「いやー、やってみたら、最後の乾杯、最高でした」と言っていただいて。とても満足されているのが伝わりましたし、僕自身も見ていて、これは何かいいなって思いました。
――ファンの方の間では、「香取さんの代表作」という呼び声もありますが?
僕らが「これが香取慎吾の代表作だ」というのは、あれだけたくさんの作品を残した方に対してはとても言えません。でも、きっと香取さんがその一つに加えてくださっているんじゃないかなというのは話していて感じることは多かったです。
――今後、Blu-ray、DVD BOXが発売されますが、ディレクターズカットで復活するシーンや楽しみ方を教えてください。
どなたかが、“この作品はかめばかむほど味が出る”って言ってくださったんです。それは、役者さんによるライブ感のある演技からではないでしょうか?今作は役者さんやスタッフをとても信頼して作った作品なんです。
そしてもう一つ信頼していたのは視聴者の方です。あえて、あのときこう思っていたから、今ここにつながったみたいな説明的なシーンを入れず、視聴者の方の想像力を勝手に信頼していました。なので、最初から見返していただくと、あらためて気付くこともあるのかなと。
さらに、入江(千葉雄大)と茜(川口春奈)の結婚式の回、5話はけっこうパンパンだったので、たくさんカットしたシーンがあり、復活します。ディレクターカット版は見応えがあるんじゃないかなと思いますね。
8月10日(水)発売
発売元:TBS
販売元:TCエンタテインメント
(C)ドリマックス・テレビジョン TBS