水泳を通して高校男子たちがぶつかり合い、成長していく姿を描いた漫画が原作のドラマ「男水!」(日本テレビほか)。同作は今年5月に同じキャストで舞台化も決定している。そこで強豪校の水泳部部長・仁科譽を演じているのが、いまもっとも勢いのある若手俳優・黒羽麻璃央。初のドラマ出演、舞台化への思い。そして自身の今後について語ってもらった。
――ドラマ「男水!」で演じている仁科譽はどんな役柄ですか?
龍峰高校という水泳強豪校の部長なんですけど、彼にはしっかりとしたバックボーンがあって、一般入試で水泳の名門校である龍峰に入学して、自分で努力して水泳部の部長になった人なんです。だからといって、偉そうな部長感はあまりなく、行動で示して、仲間を自然と引っ張っていくタイプです。独特のユルさが持ち味で愛されキャラなんですが、締めるところはちゃんと締めていくんですよ。
――強豪校の部長として、プライドを見せる部分もあるとか。
言うところは言うんですよね。ライバルに対しては、「お前らには絶対負けないからね!」という強さも持っていて。ふだんユルい人が、バッと強いところを見せるとズキュンと来るじゃないですか? だからいろいろな面が見せられる、美味しい役どころだと思います(笑)。
――演じる上でどんな準備されましたか?
原作を読み込むことですね。あとは、部長感を前面に出さない彼(仁科)をどう演じればいいのかを考えました。ユルいとはいえ、部長らしいところがまったくなかったら誰もついてこないでしょうから。ただ、共演陣が個性的で芝居のできる人ばかりだったので、現場で生まれるものに身を任せつつやれればいいかな、と。だから考えすぎずにやれたと思います。そういえば、みんなから仁科と似ていると言われることが多かったんですが、僕から出るユルさが仁科とうまくリンクしていたのかもしれません(笑)。
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
めちゃくちゃよかったですよ! 以前に舞台で共演した、知っている顔が多くて、「おお、久々だね!」という感じでした。短時間でのロケで大変でしたが、ひたすら楽しかった。その分、撮影が終わるのがとても寂しかったですね。
――そして、今回が初のドラマレギュラー出演になりました。
ドラマをずっとやりたかったので、自分としてはそれが実現できたことが一番大きいですね。だから現場での待ち時間も楽しかったですよ。「おお、ドラマ撮ってる!」みたいな感じで(笑)。ただ、舞台と違って稽古がないし、話の流れに沿って撮影するわけでもない中、シーンに合わせて、役柄の感情を一回の撮影で持っていく難しさはありました。
――ドラマに初出演しての手応えはありましたか?
いやいや、ないです! そこは観てくださったみなさんに決めていただければ。僕自身は「もうちょっと、なにかできたのでは」とひたすら反省しております(笑)。まあ、演じ手が自分に満足することはなかなかないとは思うんですが、観てくださった方からSNSなどで感想をいただいたりすると、やっぱりうれしいし励みになりますね。
――ドラマ版の後には舞台版も控えています。
この作品を、ホームグラウンドだと思っているので、舞台で演じられるのが楽しみです。稽古もあるから、ドラマの撮影中には見えなかったものも見えてくるでしょうし、もっと深く作品を探っていけると思う。そして、これだけのメンツが揃う舞台は二度とないと思うんです。そういう意味でもすごい人たちが集まった歴史的な作品になると思いますし、きっと熱い作品になるんじゃないかと思います。
――舞台版に向けて、身体も絞っていく感じになりそうですね。
そうなんですよ。食事には気をつけるようにしているんですが、今稽古をしている「熱海殺人事件」という舞台が、すごく頭を使う作品なんです。それでとにかくお腹が空いて、ちょっと食べすぎてしまっています(笑)。この前もおにぎり2個とパン2個を食べて。その後、稽古場にあるカップラーメン1個、共演の方からいただいたおにぎりを1個を食べました。そして夜はデリバリーの豚丼大盛りとたこ焼き(笑)。食欲が止まりません。でも、5月の舞台版「男水!」に向けてそろそろ調整していきますよ!
――舞台「熱海殺人事件」はどんなお芝居ですか?
男性に共感してもらえそうな作品だと思います。稽古では「倒れちゃうんじゃないか?」と思うくらい、バーン! と感情を表に出す芝居をやっていますが、そのギリギリのところを攻める感覚がすごく楽しい。周りが見えなくなるくらいの高揚感と勢いの中でやる芝居に充実を感じますし、本当に命を削りながら稽古をしています。いまはまだ不安もありますけど、それを取り払ってこの作品をやれたら、今までにないくらい舞台を楽しむことができるんじゃないかな。意外に思われるかもしれませんが、僕はカーッと熱くなれる瞬間が好きなので、そこが舞台と合っているのかもしれません。
――今後、俳優としてやってみたい役はありますか?
人の印象に残る役を演じたい。例えば、作中で嫌な役をやる俳優さんが、本人まで嫌われてしまったり、それくらい印象に残る芝居をしていきたい。 カッコいいと言われるだけでなく、それだけじゃないなと思わせたい。あと、嫌われる役って、演じている方は楽しいんですよ。人はふだん他人に好かれようとして生きているじゃないですか? でも、嫌われ役はそこを気にすることなく、自由に言いたいことを言い、やりたいことをやれますから。今後、そういう役を演じられるようになるには、自分のポテンシャルを伸ばすことに尽きると思うので、これからも頑張ります。
――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。
僕自身、これは歴史の1ページをめくるような記念すべき作品だと思うので、ぜひその瞬間を一緒に体験していただけたらうれしく思います。「男水!」はここから怒涛の展開になっていくので、どうぞお楽しみに。
大井達史
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