「第105回ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」で最優秀作品賞を獲得したのは、警察の機動捜査隊の活躍を描いた「MIU404」(TBS系)。「Nのために」(2014年)、「リバース」(2017年)、「アンナチュラル」「中学聖日記」(ともに2018年、いずれもTBS系)に続き、5度目の作品賞を獲得した。コロナ禍での撮影の苦労、今だから話せる最終回の裏話などをたっぷり聞いた。
――「MIU404」が作品賞に選ばれました。感想を聞かせてください。
本当にありがたいです。「MIU404」は、「警察ものやりたい」という思いから始まりました。元々ドキュメンタリーの「警察24時」シリーズや「相棒」(テレビ朝日系)が好きで、海外ドラマでもよく刑事ものを見ます。一風変わった刑事もの「古畑任三郎」シリーズ(フジテレビ系)も好きでしたね。
だからこそ、「MIU404」をスタートさせるときは、既にたくさんある刑事ドラマとどう差別化するか考えました。野木亜紀子さんがオリジナルで脚本を書いてくださって“よくある”刑事ドラマにならなかったからこそ、こういう賞を頂けたのかなと思うと、素直にうれしいです。
――「アンナチュラル」は女性が主人公でしたが、今回の主人公が綾野剛さんが演じた伊吹と星野源さんが演じた志摩という男性同士のバディに。それはなぜでしょうか。
TBSの編成部と打ち合わせをしたとき、「あなたたちは女性が主人公のものをよくやっているから、今回は男性がいいんじゃない」というアドバイスをもらいました。ですから主人公を男にしようというのは決めて進みました。岡田健史さん(九重役)と橋本じゅんさん(陣馬役)が演じてくれたもう一組については男女のペアにしようかとも一瞬考えましたが、警察の男社会を描くには、桔梗隊長(麻生久美子)紅一点の方が良いと思いました。それで4機捜のメンバーが現在のものに決まりました。
私からは野木さんに「会話のやり取りを多く書いてほしい」とリクエストしました。例えば、捜査会議の場面も、セリフで事件を整理するだけでなく、日常の会話劇にするなど。ただの説明になってしまわないように気をつけました。
――違法ドラッグ、外国人の労働環境など、リアルに社会で問題になっていることを描き、それがまた視聴者の間で話題にもなりました。
社会問題を出そうと意識していたわけではなく、この時代、視聴者の皆さんに何をお届けするかと考え、リアルなストーリーを作っていく上で必然的にそうなりました。まずはエンタメとしての面白さを大事にするため、難しくならないようにどう伝えるか。よく野木さんには「小学生にもわかるように」とお願いし、「小学生まで?」と言われながらも、そこはこだわりました。
今回は警察ドラマだから、法医学ものだった「アンナチュラル」よりわかりやすく…。とはいえ、簡単になりすぎないようにもしたい。そのバランスが難しくて、塚原あゆ子監督もどんな世界観にすればいいのか、かなり思案していましたね。
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