「本編1話で義澤先生が生徒に授業を行うのですが、それを見た朝日がその日の学校終わりに『今日の(義澤先生の)授業、最悪だったよね』って言いながら一人で動画を撮っているんです。その動画を、本編の最終話が終わったあとの世界で生徒たちが見ている、というのがフライングドラマの世界です」。主演の山田は、フライングドラマのストーリーをそう説明する。
表向きは義澤を支える副担任の朝日。だが、本編1話で実は朝日こそが生徒たちを操っていた“悪の権化”だったことがわかる。フライングドラマでは、そんな朝日の本音が爆発する。
「あ~~~、うずく、うずくな~~~!」「一番大切なのは権力!!努力は無力!はい繰り返して!!努力は無力!!」。教卓でひとり、狂気丸出しで倫理観が抜け落ちた主張を叫びまくる朝日。
その動画を見ながら、本編の結末をすべて知っている生徒たちが「朝日先生、“あの日”、こんなことを撮影してたんだ」「朝日先生は気づいてたわけでしょ?義澤先生の“目的”に…」と、本編の先の展開を少しずつ“フライング”して見せていく。
本編にも登場するキャラクターが主役となって制作されるドラマは“スピンオフ”と呼ばれ、以前からファンに愛されてきた。ドラマ「踊る大捜査線」シリーズの映画「交渉人 真下正義」「容疑者 室井慎次」(ともに2005年)などはその好例だ。
かつては映画や特番として作られたこうしたスピンオフ作品も、ここ数年で動画サイトが定着したことによって発表の場が確保され、より積極的に制作されるようになっている。
こうしたスピンオフ作品の多くは、本編を楽しんだ視聴者への“プラスアルファのお楽しみ”といった位置づけだ。そのため、放送中の本編よりも未来の世界が描かれることはない。
そのタブーに斬り込んだのが「頼田朝日の方程式。―」というわけだ。まだ結末を知らない視聴者に、あえて未来をチラ見せし、考察を促す。
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