「半沢直樹」福澤監督 怒濤の演技合戦は『堺さんがぶれないからこそ』<ドラマアカデミー賞・インタビュー後編>

2020/11/06 17:30 配信

ドラマ

「半沢直樹」3監督にインタビューを敢行(C)TBS

「テレビ本来の『この時間しか見られない』という感覚がよかったのでは」

――半沢の決めセリフ「倍返しだ」に対して、今回は「恩返しだ」という新しいキーワードも出てきました。

福澤:前作から7年が経ち、「倍返し」はもう死語になっているので恥ずかしいなと思って「恩返し」を入れたけれど、視聴者の皆さんの反応を見ていると「倍返し」はまだ死語でもなかったのかと…。ただ、半沢が「倍返しだ」と言うような復讐ドラマは簡単と言えば簡単なので、それを繰り返すのではあまり発展がない。そこで、人間ドラマとして「恩返し」を入れていこうと考えました。

――視聴者の反応はどんなところで感じましたか。

福澤:ドラマの新しい楽しみ方が提示できたかなとは思いますね。日曜の夜9時、スポーツ観戦のようにみんなで「せーの」と見始めて、ネットで騒ぐ。そして、放送が終了するとSNSでの感想がわーっと増えるんですよ。やはりテレビ本来の「この時間しか見られない」という感覚がよかったのでは。

田中:うちの子は小学生で、学校でも子供たちが「倍返し」だと言って楽しんでくれたようです。他のドラマではよく女性から「見ましたよ」と声を掛けてもらうのですが、「半沢直樹」では男性、特にお父さん世代から見ていると言われました。家族みんなで一緒に見られるドラマになったのがうれしかったですね。

松木:私も、甥っ子から初めてものまね動画を送ってもらいました。それを見ると半沢の決めぜりふを言っていて、どうやら普段もお父さんと「パパ和田常務」という寸劇をしている(笑)。また、居酒屋さんの看板に「日曜の銀行員が敵」と書いてあるのを見たことも。こんなことは今までなかったですね。

福澤:ただ、僕らはネットで盛り上がることを目的にしているわけではない。撮影しているときは香川さんの「おしまいデス!」だってネットで盛り上がるなんて、まったく思わなかった。仕掛けているつもりはなく、あくまで現場で生まれた芝居なんです。