2020/11/07 06:00 配信
11月9日(月)よりスタートするWOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」(WOWOWプライム)。バカリズムが脚本を手掛けた本作は、“復讐”というシリアスな設定の中で、普通の作品なら省略されるであろう「どうでもいい部分」をやたらと細かく、リアルに描いた新感覚サスペンスコメディー。二人の男が復讐へと突き進む姿を時にシリアスに、時にユーモラスに描いていく。
今回、本作でW主演を務めるバカリズムと井浦新にインタビューを敢行。後編となる今回は、堀田真由、佐久間由衣を交えた4人でのシーンを振り返ってもらうとともに、コロナ禍においてそれぞれが感じたことなどについて語ってもらった。
――台本を拝見していて、何ということのない普通の会話の中に「おかしさ」がにじみ出てくるところがバカリズムさんの脚本ならではだなと感じました。そうした会話を作られていく中で、今回意識されていたポイントなどはありますか?
バカリズム:せりふに関しては、(視聴者の皆さんに)「台本が無いんじゃないか」と思われることが、僕は書いていて理想なんです。例えば、僕が書いたせりふをキャストの皆さんが「言わされている」って思われないように意識しています。
「口馴染みのいいせりふ」って言うんですかね? 本当に会話として、「カメラが回っていなくてもこういうやり取りしているんじゃないの?」というくらい自然になるように、言ってみれば「ドラマっぽくならないようにする」というか。
言葉尻だったり、言葉の選び方だったり、相槌だったりは、せりふを書く時に結構こだわっていますね。いかにもなドラマのせりふ回しにならないように、(そうしたドラマ的な部分の)逆を行く感じで書いています。
井浦新:バカリズムさんと一緒の芝居場の時も、芝居が自然になるように結構相槌とか入れてきてくれますよね。
バカリズム:そうですね。それって多分、僕が現場にいなければ相槌とかって生まれないというか。基本的にお芝居の現場は、台本に書いていないことはやらないのがルールじゃないですか。なので、僕がいる時は極力(入れるようにしている)。そこは(脚本家である)僕に権限があるので(笑)。
現場では「こういう感じでやりませんか?」っていう無言の提案というか、「この作品はこの空気感でやりましょうね」っていうのを、何となくこちらがジワ~っと出していって、二人で空気を作っていくみたいな。そういうことは意識していましたね。
井浦:おかげで自由になりました。二人のシーンだったらなおさらそれを感じられるので、「なるほど、うん、そっか」みたいなちょっとしたつぶやきとかも、入れていって大丈夫なんだなって。
ドラマは映像だけど、バカリズムさんの書く緻密さってより具体的なんです。こっちがせりふを喋っている時も、バカリズムさんが「へぇ~」とかどんどん入れてくることによって、それくらいの自由度があるんだなっていうのを知れると、役も育ちやすくなるというか。
なので、(堀田真由さん、佐久間由衣さんとの)4人のシーンでは、バカリズムさんがそれをやることによって他の3人もどんどん自由になっていくから、より自然なせりふの回し合いになっていったりして。
バカリズム:「被っててよく聞こえないけどコイツ何か横で言ってるぞ」みたいなのもあえて入れましたね。何回か見返した時に、「小っちゃい声でこんなこと言ってたんだ」ってわかるような。でも実際の会話では、言葉もすごく被るし当たり前のことだから。
ちゃんとしたドラマの世界だと、(会話が)順番になっていたりするので、そこはもうちょっとコント寄りというか、バンバン相槌も打つしみたいな。そういうイメージではありますね。
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