――それぞれ、役に対してどんなふうに向き合っていたんですか?
木原瑠生:この作品に入るちょっと前ぐらいに、自分の言いたいことをちゃんと言えるようにしようと思ったんです。ササノは、そういう決意をする前の自分に似ているのかなと。
年齢も同じだし、どこか相手に頼ってしまったりするところも分かるような気がしたので自然体で演じることができました。
小野莉奈:台本を読んだ時にもカノンに対していろいろ感じたものがあったんですけど、実際に現場でササノと向かい合った時にまた新しい気持ちが自分の中に生まれたんです。
それは、役者としてすごく面白い瞬間だなと思いました。
――その新しい気持ちとは?
小野:最初はササノに対して不満を言ったり、感情的になるような気持ちを大切にしながら演じようと思っていたんです。でも、現場でササノと向き合っていくうちに、カノンは不満を言いたくて言っているわけではないんだなって。
ササノから一緒に住んでいた家のカギを投げて渡された時もそれはカノンにとって予想外というか、まだ別れたくないという気持ちが芽生えたりして、とても不思議な感覚でした。
木原:ササノも自分からカギを渡したけど、どこか踏ん切りをつけられないところがあったと思うんです。でも、ちゃんとけじめをつけなければいけない。
その葛藤だったり、二人の何とも言えない空気感は実際に向き合ったからこそ生まれたものなのかもしれません。相手の表情を読み取りながらの芝居はすごく緊張しましたけど楽しかったです。
――お互いの印象は?
木原:僕たちのシーンは2日で撮り終わったんです。日数が少なかったんですけど、本番の時の集中力がすごいなと。何度も「女優さんだなぁ」って思ってしまいました(笑)。
小野:え、どこのシーンで?
木原:ササノがカノンに起きてほしいがために、あえて大きな音を立てて部屋の片付けをしているシーン。カノンが起き上がった後の表情がとても自然だったんです。本読みの時とは違う感じで、ものすごくリアルな芝居のような気がしました。
小野:木原さんとは衣装合わせの時に初めてお会いしたんですけど、本当にササノくんみたいな人が来たなって思いました。台本を読んだ時にいい意味でやんちゃっぽいイメージだったので、そのままだなって。
木原:1回目の本読みが終わった時、ササノをどうやって演じたらいいのかを監督に相談していたら小野さんから「そのままでいいと思います」って言われて。
小野:いろいろ話をしていく中で、ただやんちゃなだけではなくてちゃんと優しさもあるんだけど、ちょっと粗相してしまうみたいな感じがイメージとして想像できたんです。だから、無理に自分とは違う人物を作るよりはそのままの方がリアルなササノになるのかなと思いました。
木原:そのままでいいと言われたので、割とスッとササノというキャラクターに入り込むことができたような気がします。
――ちなみに「ササノっぽい」と言われた感想は?
木原:正直、ちょっとショックですね(笑)。
小野:そうなの?(笑)
木原:やっぱり、これからは本当に言いたいことはちゃんと言おう、しっかりしようと思っていた中で「ササノっぽい」と言われたので…。
小野:せっかく変わりたいと思っていたのにね(笑)。
木原:そう。僕自身、台本を読んだ時にササノはちょっと弱い感じの男の子なのかなと思ったので複雑な気持ちになりました(笑)。
――反対に小野さんがカノンっぽいなと思ったところはありますか?
木原:カノンっぽいところか…。一つのことに対して頑張るところ。そういう素直さや真っすぐな感じは似ているのかなと思います。どうですか?
小野:自分で言うのは恥ずかしいですけど「ひねくれてはいないね」と言われます。木原さんが仰ったように一つのことを頑張るところはカノンと同じなのかもしれません。
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