――トランプ政権からバイデン政権に変わった場合の「変化」について考えを聞かせてください。
アメリカ中心主義の人はアメリカ以外のことを「The rest of the world」、世界の残りの部分と称します。アジアが最たるもので、ヨーロッパ先進国に対してはある程度コンプレックスがある。ヨーロッパから渡ってきた人が植民して作った国がアメリカですから。
「The rest of the world」という彼らの考え方からすると、世界と協調してやっていこうとか、他の地域の人々、アジア人、黒人、モスレムを対等に見るということがないんです。
アメリカさえ良ければいいんだっていうのがトランプ政権。アメリカ第一主義で、WHOからも脱退して、パリ協定からも離脱して。究極の内向き政権ですね。自分たちで引きこもってしまっているのが今のアメリカの状態で、国際的な状況を知っている政治家は、今のままだとまずいと思っている。人種や外交、エネルギーなど、問題はありすぎるぐらいあるけど、やっぱり「自分たちさえ良ければよい」という考え方はそろそろ通用しなくなるんじゃないかと。
例えばアメリカの最大の産業だった自動車産業も、もうはっきり世界の潮流から遅れているんですね。エコ、あるいはエネルギーの問題もあって電気自動車の開発が主流になっているでしょ。アメリカは全然遅れていて、市場もヨーロッパの方が先行して、他国にもっていかれている。それを自分たちのせいだって考えたくないんですよ。それがとても厳しい。
民主党の方が、国際協調主義で、国連を中心にやっていこう、NATOやASEANという地域地域の枠組みとうまく共存していこうっていう意識はあるんですけど、うまくいかなかったら引きこもる可能性はあります。また、今回の大統領選で顕在化した分断の状況からの修復には一世代かかるんじゃないですか。そんな簡単に治るものではないと思います。
――アメリカと日本との関係性はどうなるでしょうか。
日本は「The rest of the world」。その中で、比較的言うことを聞いてくれる国、口の悪い人はATMって言いますよね。爆買いをさせる、一番ひどいのは武器ですけど、トランプは買わせるのが得意でした。そういう関係がずっと続くのは不健全ですが、それは民主党になっても変わらないと思います。むしろ露骨にじゃなくて巧妙にやるんじゃないかと。トランプは外から見ても分かりやすかった。でもそんなやり方じゃ通用しないって分かってきたのは確かです。
しかし、日本の場合、アメリカ従属しか選択肢がないことが問題ですよね。選択肢を用意できていない日本がこれからたどっていく道を考えると、不安になります。
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