――政治の話から少し離れて、選挙取材中のエピソードもうかがえたらと。
では、マスクについての話を。日本のマスクは白、もしくは無地のものが中心じゃないですか。最初に驚いたのはアメリカでは白いマスクをしている人が、医療従事者を除いてほとんどいないことですね。柄付きでないマスクを探すのが難しいぐらい、マスクはファッションになっている。とってもオシャレ。
マスクは顔の真ん中にあるものなんだから大事なもので、それが真っ白なままなんてあり得ないということなんでしょうか。
(マスクを見せながら)記念に買ってきたのは、バイデンの文字が書かれているマスク。これをみんなホワイトハウス前でしていましたよ。
「Black Lives Matter」と書かれたマスクもあります。主張が記されたマスクをしてるんです。もし日本で「Black Lives Matter」と書かれたマスクをしていたら浮きまくるんでしょうね。
選挙グッズもいっぱいあって、帽子とか。(見せながら)これは指人形です。誰の指人形かというと、大統領選挙の前に亡くなったルース・ベイダー・ギンズバーグ、最高裁の判事ですよ。この人がポップアイコンになっている。とってもリベラルでトランプに対しても批判的だった人ですが、こういうものが商品になる。どうせなら楽しくやろうじゃないか、「政治的なことを語るのは当たり前」という意識が若者の中にもあるのでしょうね。
ーーコロナ禍での取材という視点でうかがえることはありますか?
レストランは基本的に店内での飲食はやっていなかったです。テーブルを外に出して、道路にはみ出してそこでみんなご飯を食べていた。法律を変えて、道路を使って良いことになってるそうです。その側を車が遠慮しながら通過する。それはすごい風景で面白かった。外食は基本的にみんなデリバリーで、お店のドアにインターホンがあって小さな窓から注文したものを受けとる形式ですね。
そこまで対策をしているのにアメリカの感染者は膨大なんですから、日本も気を付けなければいけないですよね。一番びっくりしたのは日本から来たと言ったら「Congratulations!」と言われたこと。日本はコロナを封じ込めたと見えているみたいで、だから「おめでとう」って言われて。
今回現地取材に行けましたが、アメリカのジャーナリストも危険を冒してでも現場取材は必ずやるという姿勢です。トランプの集会は参加者もマスクをしていないから怖いですよ。集会が開かれるたびに感染者が出ると言われる中でも、彼らは取材に行っていました。フェイスシールドもマスクもして気を付けながら。
エッセンシャルワーカーという言葉がありますが、医療従事者、物流で配達する人といった社会生活を支える仕事のほか、報道機関で働く記者とかカメラマン、ディレクターもそれに当たると思います。
こもっていてはダメで、リスクを取りながらも気を付けて、ちゃんと現場に行って取材をする。その根本原則を全うするアメリカってすごいなって思いました。ヨーロッパからもたくさん記者が入って取材をしてるんですよね。なぜかというと、アメリカの政権がどっちになるかは、彼らの国や世界に致命的な影響を及ぼすことですから。
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