佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊らの演技に「非常に幸せでした」映画「サイレント・トーキョー」原作者×監督対談

クリスマス・イブ。恵比寿で爆発事件を起こした犯人から、次の標的は渋谷・ハチ公付近だという爆破予告が――。秦建日子(はたたけひこ)の小説を原作とした映画「サイレント・トーキョー」が2020年12月４日金から全国ロードショーとなる。「事件現場に現れる容疑者」を佐藤浩市が、「事件を追う刑事」を西島秀俊が、「一連の事件に巻き込まれる主婦」を石田ゆり子が演じるクライムサスペンス。映画の公開を記念し、原作の秦と監督の波多野貴文が対談を行った。

秦 「人が密集して撮影できる古き良き時代があったと涙ぐみそうに」

──秦さんは「まっさらな状態で」観ます、とおっしゃっていましたが、ご覧になっていかがでしたか。

秦建日子「もともと脚本家として原作を脚色する側の立場をいっぱい経験しているので、とにかく原作者チェックはしないと決めていました(笑)。すごく面白かったです！」

波多野貴文「ドキドキしていたのでほっとしました(笑)。設定は変えさせていただいたところはあったんですが、原作の軸がぶれないといいなと思っていましたね」

秦「渋谷の爆破シーンは、出来上がったものを観て度肝を抜かれました。撮影場所の写真は、エキストラに参加した人たちからSNSで僕にばんばんDMが来るので(笑)見てはいたんですが、想像の100倍ぐらいのスケール感でした。急に人との距離をとらないといけない時代になったので、あんなに人が密集して撮影できる古き良き時代があったんだ……とあそこで軽く涙ぐみそうになる。あのシーンだけでも、とにかく全ての人に観ていただきたいと思いましたね」

波多野「事件に関係ある人もない人も、思いが違う人も、みんなが時間ごとに渋谷に集まってくるあのシーンは、とても大事な要素です。小説ほどディテールを突きつめることはできないんですが……でもいろんな人がいて、こういう目に遭う、ということを描きたかった」

秦「単に“人が大勢います”ではなくて、ちゃんとそれぞれの背後が見えるようなシーンになっていて、本当に素敵だなと思いました」

波多野「うれしいですね」