2月18日に川口春奈、山崎賢人のW主演で公開される映画『一週間フレンズ。』。累計170万部を突破したベストセラーコミック。主演2人の切ないながらもあたたかいラブストーリーもさることながら、彼らの恋愛模様を支える仲間の姿も見逃せない。そのひとりである長谷祐樹(山崎賢人)の親友・桐生将吾を演じているのが、超特急のボーカルでもある松尾太陽だ。寡黙でクールな人物だが、祐樹を見守り続ける将吾という役柄をどのように演じていったのか。
――まず、演じた桐生将吾との共通点を教えて下さい。
桐生は、周りを客観視している事が多いので、そこは唯一似ているかなと思いますが、実は、全然違うんですよ。将吾と真逆なところにいるのが僕です。明るいというか、テンションが上がるとよく話す方だと思うので。だから、撮影当初はどう演じていこうかなと考えていましたね。
――ということは、自分を抑えながら将吾を演じ始めた?
表情や行動でセリフ的な部分を表現することが多かったので、本当に一筋縄ではいかない役だなと。しゃべらなくても、そのシーンにいることもあったので。なぜ、そこに将吾がいるのかという存在意義を毎回考えていた記憶があります。そういうシーンでも将吾というキャラクターをスクリーンの中に出していきたかったんです。そこは常に意識していました。
――超特急を離れて、ひとりの役者として挑むのは『一週間フレンズ。』が初めてですよね?
しかも、こんな素晴らしい役柄を演じさせていただくなんて、最初はうれしい気持ちだけでした。でも、撮影が近づくに連れて、うれしさ半分、「どうしよう……」という思いも半分出てきて。(クランクイン前は)ドキドキしましたね。クランクインしてからも、つい「次は俺のセリフだな」とか思ってしまうことがありました。そういう緊張をほぐしてくれたのが、主演のお二人です。『一週間フレンズ。』ならではの明るくて、あったかい雰囲気を現場で作ってくれて。その中に飛び込んでみると、自然に将吾になっていました。この作品に参加している楽しさも芽生えてきて。そう考えると、あの二人はすごいなと。
――川口春奈さん、山崎賢人さんの方から声をかけてくれたんですか?
現場で僕のことをすごく気遣ってくれました。普段の僕は音楽活動がメインだと知っていた川口さんが、まずそこから話題にしてくれて。「ちょっと歌って」と。まさか現場で自分の曲を熱唱するとは思いませんでした(笑)。でも、声を出してみると、自分の中にあった緊張がパツンッと消えたんです。映画の撮影現場で突然、自分の曲を歌う以上の緊張はないですから。そういうことも含めて、いろんな人に支えられながら撮影に挑んでいたんだなと思います。
――とはいえ、芝居で苦労したシーンがあったんじゃないですか?
(文化祭の夜の)火祭りで祐樹がノートを燃やすシーンですね。将吾は横にいたんですが、それまでのようなあったかい空気だけでは済まない状況で。切ないし、親友が絶対にしたくなかった決断をする瞬間に立ち会っているので、どういうふうに将吾として生きていこうかなと考えたシーンでした。しかも、セリフがほとんどなくて。だから、何のために祐樹の隣に将吾はいるのかをいつもより強く意識していたと思います。
――祐樹は将吾がいるかいないかで、行動が大きく変わった人物ですよね?
祐樹は、当たって砕けろでがむしゃらな性格なので、常に冷静で周りをよく見ている将吾がいてくれる事で助けられている事が多かったと思います。香織と友達になる為に必要不可欠な存在だったとも思います。原作のファンの中で「アシスト王」と呼ばれているほどですし笑。
――将吾について、監督からの指示はあったんですか?
演じるという意味で、「セリフは言うものじゃなくて、心の中で思ったからこそ口に出るのがセリフなんだよ」と。撮影前にその言葉を聞いて、撮影の間もずっと忘れないようにしていました。それがあった上で何が出来るかだと。
――完成した『一週間フレンズ。』を観て、どういう作品になったと思っていますか?
原作を読んで、どこまで実写で描けるのかなと思っていました。でも、オープニングの図書室のシーンから『一週間フレンズ。』の世界観を包む独特なあったかい雰囲気が映像になっていて、すごいなと。重くなりそうな内容もあるじゃないですか。それさえも包むぬくもりというか。だからこそ、『一週間フレンズ。』という作品は愛されているんだなと、実写になった作品を観て改めて思いました。
――最後に、松尾太陽という俳優の目指すところを教えて下さい。
今回はとてもクールな役柄でしたけど、祐樹ぐらい真っ直ぐでガムシャラな人も演じてみたいです。全然違うベクトルですが、感情が右往左往する瞬間を表現したいというか。ただ、俳優として今回は本当に楽しい時間を過ごせました。徐々に、自分のアイデアを出せるようになったし、その役柄として生きる瞬間にも出会えたし。大きな経験が出来たと思うので、これからも俳優としての作品も重ねていけたらと思います。
取材・文=あらいかわこうじ
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