12月9日(水)に大森靖子のアルバム『Kintsugi』(全4形態)がリリースされる。同アルバムには、配信限定でリリースした「シンガーソングライター」(2020年7月)や「KEKKON」(9月)をはじめ、全11曲が収録。
タイトルの“Kintsugi(金継ぎ)”は割れた器を漆でつなぐ日本の修復技法で、つなぎ目に金などを塗って、装飾にしてしまうことが特徴。そのタイトル通り、今作は人間のさまざまな面を描いた楽曲がつなぎ合わさって、1枚のアルバムを構成している。
今回はそんな『Kintsugi』について大森にインタビュー。この後半では、女優・橋本愛と歌唱共演をした「堕教師」や、大森自身がそちら“側”になってしまうという「counter culture」などに関する話を紹介する。
<『Kintsugi』インタビュー前編>の続き
――「堕教師」では橋本愛さんと歌唱共演をしていますが、レコーディング等を振り返っていかがでしょうか。
愛ちゃんは女優さんという仕事柄なのか分からないですけど、教えるだけじゃ分からない感覚的な部分というか、この気持ちを強くするためにこういう歌い方をしているんだとか、そういう部分が全部最初からできていました。ファンでいてくださって、ずっと聴いてくださっているからというのもあるかもしれないんですけど。
でも、多分そういうところじゃなくて、自分がこの気持ちを表現するためにこの手法を使ってるみたいなところをちゃんと意図的に捉えて、それをすぐにやっていたことが印象的でした。自分の歌を歌ってくれる人がこういうふうにできたらすごくいいのにって思ってしまうくらい(笑)。そう思うくらい、天才だって思いました。
あと、愛ちゃんは学生時代から女優さんをやってらしたので、学校というものへの共感性が低いかなと思ったからこそ、「堕教師」という教育について考える、学校というものの在り方について考える曲にしました。
――ということは、橋本さんとの歌唱共演が決まってから「堕教師」を制作したんでしょうか?
書いてるのが何曲かあって、「この曲が愛ちゃん」と決めてさらに書き進めた感じですね。
教養を身に付けることって、芸術なりを享受していくに当たってやっぱり大事なことではあるので、そういう部分を学校じゃない機関で学んできた愛ちゃんが、学校という機関を、演じるじゃないですけど、歌ったときにどうなるのかなっていうのは興味がありました。
察する力とか想像力とか、そういうものは女優さんという仕事で身に付けたと思うんですけど、それが実際の経験よりも解像度を高いものを描くことができるんだなっていうのを見て、プロの仕事を感じたというか、カッコイイなと思いました。
――「シンガーソングライター」と「KEKKON」は、アルバムには一部の歌詞を変えて収録していますが、そうしようと思った理由は?
「シンガーソングライター」と「KEKKON」は先に配信リリースされている曲なので、1曲単体だったらここまで踏み込んだことを言ったら行き過ぎるなって感覚があったんですけど、アルバムを通して聴くと、こっちの方が映えたり、もっと深いところに行けるっていう感覚があったので。アルバムを通して聴くんだったら、アルバムバージョンの方に帰結してほしいっていう気持ちがありました。「シンガーソングライター」はラジオで掛けてほしいですね(笑)。
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