西島秀俊「翻弄される思いで毎日演じていました」“本能で演じる”共演者とのエピソードを語る<ノースライト インタビュー>

2020/12/11 10:00 配信

ドラマ インタビュー

建築士の青瀬稔を演じる西島秀俊撮影=後藤利江


西島秀俊「毎日演技をすることが刺激的で楽しかったです」


――建築士を演じる上で実際に建築士の方からお話を聞かれたということですが、印象に残っていることはありますか?

お話を聞いて特に印象に残っているのが、光についてでした。建築士の中には、立地などの制限の中でうまく光を取り入れる方たちがいて、光についてみんなそれぞれの考えがあって、その人のセンスが建物に反映されて…、その建物を見るとすぐに誰がデザインしたものかわかるそうです。
依頼人のこうしたいという要望を全部聞きながら、どうしても自分のやりたいことを建築士は入れるものだという話をしてくださいました。

――今のお話を聞いて、“どうしても自分のやりたいことを入れる建築士”と役者は、もしかして似ているのかな?と感じたのですが、西島さんご自身はどのようにお考えですか

そうですね。俳優の話は難しいですが…。
演出を受けて、演じてみて、身体で表現するときに、心の中もそうですけど、どうしても“何か引っかかる”ということもあります。逆に、監督の言っていることをやろうとしても、できないこともありますし…。どこかで、役の一番大事な何かを、自分の中に常に持ち続けて、演じることはあるのかなと思います。

――最後に「ノースライト」の見どころをご紹介いただければと思います。

まずはミステリーを楽しんで頂きたいのですが、同時に見てほしいのは、働いている人がそれぞれ抱える思いと戦う、立ち向かっていく姿です。人は、見えないところに違う姿を持っていて、他人には言わないけど、大切な思いを抱えている人が多いと思います。
ドラマでは、そのような登場人物の姿が、ミステリーを解いていく中で徐々に見えてきて、それらと事件の謎が一つにつながったときに、感動的になっているなと感じました。

あとは、北村さん、宮沢さんをはじめ、本能で演技をする方たちが集まっていて、文字で表現されていた登場人物たちを脚本で読んでいるよりも、はるかにいきいきと演じてらっしゃいます。僕も翻弄される思いで毎日演じていました。本当に現場で毎日演技をすることが刺激的で楽しかったです。ぜひ、演技にも注目していただきたいです。

「ノースライト」あらすじ


依頼主の失踪を知った青瀬は“Y邸”へと向かう(C)NHK


「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」それが依頼人・吉野陶太(伊藤)から、建築士・青瀬稔(西島)に託された唯一の注文だった。建築士にとっては創作意欲をかきたてる、願ってもない仕事であった。バブルが弾けて以降、妻・ゆかり(宮沢)とも別れ、流れ作業のような仕事に身を任せていた青瀬にとってはなおさらだった。

建築予定地は越後追分。青瀬は所長・岡嶋昭彦(北村)の応援を受け、すべての思いを託した家を完成させた。依頼人・吉野陶太の家族も満足そうであった。

だが、その一年後依頼人・吉野陶太が、家族と共に、その吉野邸に移り住んでいないまま放置されていることが発覚する。部屋の中にあるのは、ブルーノ・タウトゆかりの緑の椅子だけ。吉野一家に、一体、何が起こったのか?所長である岡嶋が隠していることは?そして、この出来事に、ゆかりは関わりがあるのか?