――今作は伊藤若冲が題材になっていますが、実際に作品をご覧になったことはありますか?また、その魅力を教えてください。
七之助:本物を拝見いたしました。感想は…びっくりしましたね、一言。固まりました。
作中でも若冲の絵には「神気が見える」という表現があるのですが、本当に見えるなぁって。
表現が間違っているかもしれませんが、ちょっとした怖さもあり、かといってリアルではない。にわとりは実際にあんな格好はしないですし…。
僕は素人なので絵については全然わからないのですが、若冲は表面だけではなく、生きているものの内面を見て、それを色というもので表現しているのかなと。純粋に作品を見た時にそういったことを感じましたね。
魅力はカラフルで見た目がきれいですが、その中にうごめくものがあるというのは特徴なのではないかなと。
円山応挙とか池大雅とはまた違う。円山応挙や池大雅の絵は生活や風のにおいが感じられますが、若冲はにわとりとかあまり注目されないものを軸に置いている。
それを描こうという度胸とその内側を描いているのが魅力なのではと思います。
瑛太:画集をスタッフの方にいただいて見ていました。あとはネットオークションで自分で買ってみようかなと思ったのですが、とても買えるような値段じゃなくて…(笑)。
若冲が描くにわとりは正面からとらえているものがあるんですよね。
普通だったら横向きに描いて、全体の羽ばたく姿を描くと思うのですが…。
作中には、にわとりを観察するために実際に部屋にチャボを20羽くらい入れて放し、それを若冲と大典が四つん這いになって観察するというシーンがあります。
若冲は動きを見逃さないように全ての角度から観察して、にわとりの心の模様みたいなものをキャッチしようと永遠に見ているんです。
そういったシーンから、にわとりの内面を表現するためにものすごい時間を費やしていたんだなということや、若冲の着眼点が面白いということが分かると思います。
※後日、1月16日(土)のNHK BSプレミアムでの完全版放送に向け、後編をアップ予定
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)