長野オリンピックのあのジャンプの瞬間は、私もオンタイムで見ていました。今回、映画で舞台の裏側を知ったことで、なぜ時間がたった今でも、あの瞬間が心に残っているか理由が分かった気がします。
エンドロールで「想いはらはらと」が流れたときは、選手の方々の話と重なり、胸がいっぱいになりました。この曲を作詞・作曲してくださったのは、川谷絵音さん。
川谷さんが作ってくださったこの歌を初めて聞いたときは、本当に雪のように、歌が降り積もってきて、それによって心が溶けてきて、素直な気持ちが現れてくるようだと感じ、はらはらと涙が出ました。
そして、この歌を初めて歌ったとき、柔らかなメロディーと歌詞なのに、とても細やかに、また複雑に韻が踏まれていることに気付き、すごい方だなと思いました。
この歌の世界観を壊すことなく、そしてこの歌を聞いた方が私と同じように、はらはらと涙をこぼすような歌を歌えていたらうれしいです。
MISIAさんは長崎の大先輩であり、大尊敬するミュージシャンです。そんな方に僕の弾き語りで作ったデモを送るという、大汗しかかかない出来事を、昨日のことのように覚えています。
そしてMISIAさんの歌が入った瞬間、曲が魂を持ちました。その魂が映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」の中で弾けるんです。ぜひ、それを体感してほしい。音楽を続けていて良かった、本当に。
この映画の主人公は、オリンピックという輝かしい舞台を、裏方として必死に支えた実在の人物です。彼は、負けること、かなわないことを知り、自信を失ってしまうこともありました。
でも、選ばれなかったことを知る人こそ、他人が同じ思いをしたときに、笑い掛け、そっと背中を支え、押すことができる。僕らがそんな思いで映画を作ったのと同じように、MISIAさんにも社会の片隅にいる“舞台裏の英雄たち”への応援歌を、優しく力強く歌い上げて欲しいと思い、オファーしました。
この映画は、コロナ禍に突入する直前まで撮影していました。春になり公開延期が決定。そして今、あらためて聞くと思い通りにいかない日々を過ごす僕たちのことさえも、そっとそっと背中を押してくれています。
そんな僕らを含め、今や“コロナ禍の人々”への応援歌のようにも聞こえます。
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