上川隆也、主演ドラマが“節目”の10周年「毎回毎回を大事に務めていくしかない」<遺留メモ(1)>

2021/01/14 07:00 配信

ドラマ インタビュー 連載

「遺留捜査」が10周年! 「3分だけ」時間をもらいがちな糸村にかけて、上川隆也に“3本だけ”バラを持ってもらった撮影:永田正雄

――「遺留捜査」は、2011年にシリーズが誕生して、10周年という節目を迎えました。連続ドラマは2018年の夏クール以来、約2年半ぶりとなります。

連続ドラマとしてまた皆さんにお届けできることはとてもありがたいですし、うれしいことだと思っています。ただ、10年目にして“シーズン6”という中途半端なナンバリングが、不思議と遺留捜査らしさでもあるように思います。10年続いたから10本目というようなことでは決してなくてSPしかお届けしなかった年があれば、連ドラとして1クール務めさせていただいた年もある。

そうした不規則なリリースを繰り返しながら続いてきた作品ですので、この先もきっと『規則正しい』や『安定』はないシリーズなんだろうというふうにも踏まえています。だからこそ形態にとらわれたり、節目だから思いを新たにするということではなく、毎回毎回を大事に務めていくしかないというふうに考えています。

――コロナ禍という厳しい情勢が続く中、連ドラとしては初めてとなる冬の京都での撮影はいかがですか?

SPで冬の京都での撮影は経験していたので、それに対する心構えは既にできておりましたし、戸惑うようなことは何一つないです。

ただ、この後どこまで寒くなるのか予想がちょっとつかない状態ですし、今はとても厳しい状況下でもありますので、何が起こるのか分からないのが正直なところです。今後も、変化する環境に合わせてできる限り対応して参りたいと思います。

――今回から新しく加わった自己評価が高い(!?)現代っ子気質の若手刑事・沖田悟を演じる戸塚純貴さんの印象は?

とても柔軟なキャラクターの造形をしてくれています。僕がご一緒させていただいた2015年(ドラマ「エンジェル・ハート」日本テレビ系)以降、様々な組に参加してたくさんの経験を踏んで来たんだろうということが色濃く伺い知れる程『スッ』と特捜室に馴染んで、無理している様子が微塵もない。

それが、まだ短い撮影期間の中でも感じ取れるような居佇まいと芝居っぷりなので改めて頼もしく思っています。

――空気を読まないという点では糸村と沖田にはどこか同じ匂いがするような気がしますが…。沖田と出会ったことで糸村はどう変化していくのでしょうか?

これは実に容易に予想がつく御質問です。糸村は文字通り『馬耳東風』に過ごすのではないでしょうか。

――全く気にしない?

これまで誰が来てもそうであったのと同様に、多少似ているところがあったとしても、それはそれとして糸村は“のれんに腕押し”な男なんだと思います。

――「遺留捜査」ファンとしては、“腐れ縁(!?)コンビ”糸村と村木(甲本雅裕)の関係も気になるところです。

例えば夫婦でも恋人同士でも友人関係でも、大きなトラブルやヤマ場を越えると、その後の関係性は良好かつ安定に向かっていくものです。前回のSPで糸村と村木さんも、極めて大きなヤマ場を越えました。そう考えると、彼らの関係はさらに安定感を増していくような気しかしないんです(笑)。

しかしだからと云って、これからの2人の関係に大きな変化を見ることはないように思いますし、お互いに信頼感を強めながら距離感も含めて、このまま付き合っていくんだろうとも思っています。

――最後に、初回2時間スペシャルの見どころをお願いします。

「遺留捜査」にとって季節をまたいで事件が描かれていくということは初めての試みです。それに伴って、京都の季節の移ろいも感じ取っていただけるのではと思っています。

その上で柄本明さん、山谷花純さん、そして中山忍さんといったゲストの方々が演じてくださった個性的かつ印象的なキャラクターが繰り広げる事件はミステリーとしても味わいのあるものになっていますし、これまでの世界観を決して崩さず持ち味も何一つ変わらない「遺留捜査」をお楽しみいただければと思います。


◆取材・文=月山武桜