主人公に10年寄り添ったディレクターの誠実さが伝わってくる作品。
民教協スペシャルというのは私たち審査委員が、各局のディレクターからプレゼンを受けて、最優秀企画を選んで映像化するわけですが、この「おひさま家族」はプレゼンの際、主人公に10年寄り添ったディレクターの誠実さがよく伝わってきて、それが作品にも投影されています。
全体を通して滲み出る「優しさ」…そこから浮かび上がる、家族の有り様…。僕は高く評価します。
「生まれたときから生きる時間が決まっているとしたら、人は家族はどのような人生を歩むのか」…番組のキャッチコピーですが、実は我々も同じです。
難病を扱ったテーマは、割と安易に一つのジャンルとして捉えられますが、そんな単純なものではありません。りんくんを見る僕らの目線、りんくん本人の目線、そこには多面的な見方がある。
「生きる時間がほぼ決まっている」という状況は、考えてみれば、僕らも同じです。難しいテーマでありながら、普遍性を捉えている素晴らしい作品になったと思います。
リリー・フランキーさんの抑制されたナレーションも、とてもよかったです。
感動を強要してくるような作品ではありません。
りんくんと家族の日常が淡々と描かれるなか、そこには押しつけがましさや感動の強要は一切ありません。静謐な心の揺さぶり…ところどころで涙が出ました。
そして、りんくんが時折カメラに目線を送っているのが、とても印象的。
ディレクターが10年かけて築いてきた関係性を深く感じました。
りんくんを見守る家族全員の顔…とても素敵です。
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