2045年の荒廃した近未来で、多くの人々が理想の人生を楽しむために没頭するVR世界「オアシス」。創設者・ハリデーが遺した全財産56兆円と、オアシスの所有権をめぐる争奪戦に参加した少年・ウェイドと仲間の冒険を描いた、スティーブン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』が、2月にムービープラスでノーカット放送される。「俺はガンダムで行く!」の名セリフで知られる日本人青年・ダイトウ/トシロウ役として、同作に出演した俳優・森崎ウィンにインタビューを行い、当時の思い出などを聞いた。
――森崎さんにとって『レディ・プレイヤー1』という作品を一言で表現するなら?
「『人の中で生きるってなんだろう?』ですね。人はいろんなツールを作って、それを介して人と人とがつながって、プラスになることもあるんですけど、一方で人を傷つけてしまうマイナスな面も紙一重で存在している。というのが『レディ・プレイヤー1』の中でも描かれているんですよね。そういう中で、人が人の中で生きる状況からは逃げられないですし、人と生きていかないと日々の生活もできないということも踏まえて、人と生きることをあらためて考えさせられる映画でもあると思います」
――「オレはガンダムで行く!」という映画史上に残る名セリフを生み出した、あの日のご自分にどんな言葉をかけたいですか?
「『もうちょっと、いろんな人と仲良くしてこい』と言いたいですね。スタッフさんと仲良くなることは多いんですけど、役者さんと仲良くなるのは、海外だからというだけではなく、日本でもミャンマーでもあまりなくて。もう少し仲良くなったら、見える世界が変わってくるのではないかと思うんです」
――2020年は役者だけでなく、アーティストとしてメジャーデビューするなど、多忙な1年を過ごされたと思いますが、振り返っての感想をお聞かせください
「今は、自分と向き合う時間を作ろうと思っています。その時に忙しかった2020年を振り返ろうかなと。しかし、本当に忙しくさせていただきましたし、自分がこの業界で続けていきたい理由を、あらためて考えさせられた時間でしたね」
――昨年30歳を迎えた森崎さんですが、30代でチャレンジしてみたいことはありますか?
「もちろん日本の作品もやっていきたいんですけど、日本だけではなく、アジア映画にもどんどん出たいなと強く思っています。いずれは監督もやってみたいですが、企画の段階からプロデューサーの1人として、ゼロから参加してみたいです。音楽では既にそういうことをやっていて、自分が伝えたいメッセージや意図がすごく乗せやすいと感じています。お芝居では台本をいただいて、プロデューサーや脚本家、監督の思い、作品の意図を僕が役者として代弁しているんですけど、何を伝えたいかというところから参加すると、また少し目線が変わるのかなと思っています。それはぜひ、30代でやりたいと思っています」
――『レディ・プレイヤー1』で、注目してもらいたいポイントはありますか?
「日本語のセリフはもちろん、僕が演じたダイトウのお辞儀は、ハリウッドの中での『和』の象徴なんです。台本には書いていなかったんですけど『ここはお辞儀したい』と思い、スピルバーグ監督に聞いたら『いいよ、やろう』って言ってくれて。それが日本の文化を知っている、日本に住んでいる役者が演じる意味なのかなと思ったので、そこに注目していただけたら嬉しいですね」
――最後に、『レディ・プレイヤー1』の放送を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
「2021年で公開から3年になりますが、皆さんが何回も繰り返し見てくださっていて、『すごい作品に出たんだ』というのを、時間をかけて実感しています。まだ、作品をご覧になっていない方も、これを機に見ていただきたいです。『映画は自分の日々の暮らしによって見え方が変わってくる』と、僕が出演した映画『本気のしるし』の深田晃司監督もおっしゃっていたので、何回も見たという方も再度見ることで、また新たな発見もあるかと思います。毎回違う部分で楽しむことができる作品なので、ぜひ今回だけの楽しみ方を見つけていただきたいと思います」
文=中村実香 撮影=落合由夏
<森崎ウィン(もりさき うぃん)プロフィール>
1990年8月20日生まれ。2018年、映画『レディ・プレイヤー1』でメインキャストのダイトウ/トシロウ役を演じ、ハリウッドデビューを果たした。2019年公開の映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。2020年にはミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』の日本キャスト版Season2(主演:トニー役)に出演。また、主演を務めた連続ドラマ「本気のしるし」の劇場版は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」作品に選出された。2020年放送のNHK総合のよるドラ「彼女が成仏できない理由」ではNHKドラマ初の主演を演じた。
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