――未唯子のキャラクターは、ご自身と似ている、似ていないなど、演じてみていかがでしたか?
みんなに「ピッタリだね」って言っていただけたのが、うれしかったけど意外というか。「あ、私ってこうやって見えてるんだ」っていうのはすごく思いました。
――僕も演じやすかっただろうなと思って観ていました(笑)。
みんなにそう言われるんです(笑)。「やりやすいでしょ?」とか「演じるって感じでもないんでしょ?」って共演者の方たちにも言われて、「いや、演じてる!」みたいな(笑)。確かに言い回しだったり、トーンだったりは近いと思いますけど、超音波じゃなくて電磁波じゃなくて…。
――波長?
そう!(笑) 波長は近いと思います。でも、私よりすてきな部分はたくさんあるし、私よりもおバカだし…あんまり変わらないのかもしれないですけど(笑)。愛せるおバカってなかなかいないとは思うんですけど、私も原作を「こんな人いないって」と思いながら読んでいたので、そんな未唯子に「似てるよね」とか「まんまじゃん」とかって言われると、「どう見えてんの私!?」とは思いますよね(笑)。
――そんなキャラクターの一方で、プロ雀士の役なので、演じる上で手さばきとかは大変だったんじゃないですか?
それは駆け出しの女流雀士という、未唯子ちゃんのキャラクターに救われた部分もありました。プロなのにマナーや所作がなってないというところから始まるから(笑)、そんなに上手じゃないことも求められていたので。
なので、未唯子と一緒にシーンを重ねながら学ばせてもらって、物語が進んでいくにつれて手さばきがうまくなったりとかを表現できたらいいなと思っていました。麻雀牌のセットを買って、家で“切る”練習をしたりもしました。
――麻雀の映画なので当たり前のように麻雀用語が出てきますが、その辺りも特に問題はなく?
大丈夫でしたけど、聞いたことがあってもどういう意味だっけ?みたいなものもあったりしました。用語よりも、対局のシーンでは、例えば「ポン」するときに牌を見ていないとおかしいので、どこに向かって発声するのかとか、そういうところがすごく難しかったです。
何巡目で「ポン」って言って、ここで「チー」して、点数が何点でというセリフと、裏ドラを見なきゃいけないとかの動作がゴチャゴチャになっちゃうので、NGはまあまあ出しました(笑)。
――萩原さんとの共演はいかがでしたか?
本当にいろんなことを教えていただきました。俳優として長く活躍されている方だし、厳しいイメージもあったし、こんなお芝居ペーペーの私と共演することで気を悪くされないかなとか、「何でこんなことできないんだろう」って思われたり、イラッとさせてしまったりしたらどうしようとか、不安が強かったんですけど、初日からたくさんリードしていただきました。
撮影は中盤くらいのシーンから撮り始めて、中盤の山場が過ぎて師匠と未唯子の関係がちょっと遠くなってしまったときに、師匠が未唯子を捜しに来てくれて、それで仲直りをするというシーンだったんですけど、初日からいきなりほっぺたをつねるシーンがあったんですよ。
「こんなすごい方のほっぺたつねれない、どうしよう」「でもお芝居だからやらなきゃ」と思ってやったんですけど、遠慮しちゃって。「思い切りやってね」「思い切りやるのがベストだからね」って言っていただいたから、本気でやったつもりなんですけど、終わってから「すごい遠慮してたね」って言われちゃいました(苦笑)。
でも、その時に痛そうにお芝居をしてくださったり、私ができない分をお芝居でたくさんカバーして、リードしてくださって、めちゃめちゃ助けてもらいました。
――ポスターやあらすじには“恋”というキーワードが出てきますが、未唯子がそれをはっきり口にするのって結構終盤ですよね。須田さんの中では、どういうところから未唯子の恋心を意識して演じたんですか?
ペアマッチくらいからかな。「師匠のために勝ちたい」という、大切に思う気持ちが恋につながったのかなって思います。未唯子自身は恋と気付いていない気もするんですけど。
でも、ペアマッチが終わって一度疎遠になってから、さっき話したほっぺたをつねるシーンで、「抱きつくぞ~!」って師匠に突進していくシーンがあるんですけど、「抱きつくぞ~!」って、ねえ?(笑) ちょっともう好きなんじゃないかなって。
師匠を落とそうと思ってやっていることではないと思うんですけど、無邪気に師匠のことが大好きなんだなということは、そのシーンで感じましたね。
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