――韓国の原作と今回の日本版で違う箇所はどんなところですか?
貸川:職場の状況などは違うので、日本の社会に合わせている部分はあります。あと、日本版では澪にあたる、主人公の妻の怒りの表現の仕方というのが、韓国のほうはものすごくストレートだったので、そこの強弱は日本人の妻らしい在り方になるようにしました。それから、元春がタイムスリップ後に結婚した沙也佳(瀧本美織)の設定が、原作は財閥の娘ですが、財閥は日本にはないので大手の企業の娘になっているというところは少し違うと思います。
――その他、演出でこだわった点を教えてください。
狩野:脚本の橋部(敦子)さんとの話し合いや、それぞれの実体験が生かされていることもあります。深夜、レンジの音が鳴る前にレンジを止めるという細かいことや、スーパーのシーンで、原作は子供がいなかったけれどもいるように変えたりとかはアレンジを加えました。あと、元春は(澪を変えてしまったことについて)澪のどんな一面から段階を経て気付いていくかとか、そういうところにもこだわっています。
――制作について話を進められる中で、男女の視点の違いを実感することはありましたか?
狩野:どちらも意識して、自分が女性だったらどう思うのかとも考えたので、そんなに大きな差はなかったかなと思います。話の性質上、主人公が男から見てもダメな男なので、そこは3人とも一致して「ダメだよね」ということでした(笑)。
貸川:もちろん元春を悪役にしたいわけではないのですが、ダメな感じをぬるく描くのも違うかなと。妻が夫に対して抱える不満やしんどい思いというのは割と切実だと思うので、その切実さをちゃんと描きたいなというのがありました。
韓国版は韓国版ですごく面白いのですが、尺が限られた中で日本版を作るときに、夫が何を分かっていなくて、どうやったらそれが反省できるのかというのをより抽出したくて。でも、そこには夫と妻それぞれの言い分があるので、お互いの立場から見たら「仕方ないでしょ」と思うこともあるかと思います。ただ、タイムスリップしたのは元春だけなので、澪の本音の部分はどうしても元春の目線で、推理のように描かざるを得ないため、元春の悪いところが多く見えますね。
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