――栄一像をどのように捉えていったのでしょうか?
最初はどういう人物で、何を大切にして、どんなことはやらないかを自分なりに調べて決めてからお芝居したのですが、大森先生の脚本は“そういうところだけじゃないよね”と語っていると言いますか。
“そう思っていてもできないのが人間だよね”という、ダサい部分だったり、信念から外れてしまう人間臭さだったりがすごく丁寧に描かれているという印象があります。
また、そういう外れたところが栄一をより魅力的にしてくれているなと思うので、決めごとみたいなものは一度取っ払って、台本にある言葉を丁寧に演じようと方向転換しました。
今はすごく自由にやらせてもらっているという感じです。
――栄一は、元々は現在の埼玉にある、武蔵国・血洗島村の農民の出身です。この“故郷パート”の撮影についてお聞かせください。
第1話冒頭のシーンでは、何回も走りました。
ドローンのカットや前から後ろからのカット、いろいろな方向から録ったり、実際に馬と並走したり、馬を全力で追いかけながら撮影したりで、体力的に大変なシーンでした。
しかし、今回の栄一は走るシーンが多いので、足腰が強くなったのではないかなと思います(笑)。
何かあるたびに結構走っています。
――地元のシーンでは、方言も印象的です。習得するのは難しかったですか?
簡単ではないですが、イントネーション的にはあまり難しくないので、語尾の法則さえ覚えてしまえば、それほど苦ではありません。
もちろん、方言指導の先生に「今の大丈夫ですか?」と確認はしますが、ちょっとしたアドリブも自然と出てくるようになりました。
――血洗島での”故郷パート”の見どころはどんなところだと思いますか?
百姓の人たちがどうやってお金を稼いでいるかという生活感であったり、若さ溢れるエネルギッシュな明るいシーンだったり、見どころはたくさんありますが、栄一としてここを見てほしいなと思うのは、お代官様から無理難題を言われても、立場的な部分で物事が決められることはおかしい。
立場じゃなく、その人の言っていることから人間力を見なければいけないんだということを栄一が幼い頃から見抜いているところです。
かわいらしく、抜けているところもありますが、人を見る目は小さい頃からありました。
彼が実業家として功績を残していくようになる前からそういう素質があったことが分かりますので、そういう部分も見ていただきたいです。
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