元アイドリング!!!・遠藤舞が初の書籍を発売「アイドルのネガティブイメージを変えたい」

2021/02/19 12:00 配信

芸能一般 インタビュー

遠藤舞撮影=石塚雅人

ボイトレの指導がうまくいくのは占い師が占いを当てた気分


――今は芸能活動は辞めて、ボイストレーナーをメインにコーラスや仮歌シンガーなどをされてます。引退時のツイートで「自分はアイドルの域を越えられなかった」と書かれていたのが意外でした。

これは自分の生き方の理想なんですけど、肩書きをどんどん変えていって変化したい脱皮願望があるんですよ。でも、世間の私に対する目線はアイドルのまま変わらなかったというフラストレーションはありました。

――一方で、アイドリング!!!在籍中に雑誌のアイドル特集で“アイドルの定義”をお聞きしたことがありますが、それに対して遠藤さんが「その肩書きがあれば、いろんなことができる存在」と答えたのが、他の方にはない捉え方で印象的でした。

その考えは今も変わらないですね。いろんなことをちょっとずつかじれるっていう。そこで自分に何が向いているのか分かる。私の場合、好きなことと得意なことって違うんだなって気が付きました。アイドルって好きじゃないこともやらされるじゃないですか(笑)。

でも、やってみたら『自分、これ得意なんだ』って気が付くことがある。好きなことより得意なことを仕事にしたほうがいいと思うし、そういういろんなものに出会える機会の多さはアイドルってピカイチだなと思います。

――元アイドルという肩書きを否定することもなく…。

ボイストレーナーの仕事も元アイドルって言っちゃったほうが女の子もクライアントも安心ですからね。今回の書籍を出せることにしてもそうだし、今の仕事に関してはアイドル活動が生きてると思うので、昔の肩書きに対するネガティブなイメージはないです。

さっきのツイートの話で言うと、そういう何でもちょっとずつできるアイドルという存在から抜け出せなかったということですね。そういう悩みを抱えた元アイドルの方っていらっしゃると思います。アイドルという言葉に対して差別的な風潮があるのも肌で感じますしね。歌やお芝居がうまいと『アイドル離れした実力』みたいに言われたり。アイドルに実力があるのはイレギュラーみたいなネガティブイメージは変えたいですね。そういうことを書いた本でもあります(笑)。

――お話を聞いていても、本を読んでも、自分自身を冷静に見詰めている方だなと思います。

自己分析すると、生きにくいタイプだなと思いますよ。自分が今ここで過ごす意味みたいなのを考えちゃうので。現役時代はその答えが出ないことにイライラしたりもしてましたね。答えなんて出るわけないんですけど。最近はもう年も経たし、仕事も変わったし、できるだけのんびり生きてやろうっていう境地にたどり着きました(笑)。

――もう表に出る仕事をすることはないですか。

ないですね。今はボイストレーナーの仕事が楽しいので。人に教えることが好きなんですよ。教えるって、自分が理解してないとできないじゃないですか。勉強してアウトプットするのが楽しいです。相手によって、言葉を選ぶのも勉強になりますね。この年の子にはこの言い方じゃ伝わらないなとか、ある程度お姉さんだとこういう言い方してもいいかなとか、いろんな説明の仕方がある。

この子はこういうタイプだから、こう教えるとうまくいくかなっていうのがハマったときは占い師が占いを当てたような気分ですよ。ライブやレコーディングの後で『おかげさまでうまくいきました!』なんて報告してもらえると、本当にうれしい。その子の人生に協力した気になりますね。

――最後に大きな話になりますが、遠藤さんの人生の目標は何ですか。

さっきも言いましたけど、できるだけのんびり生きたいですね(笑)。とにかく楽しく、苦しくなく人生を全うできたらいいなと思います。人から恨まれず、迷惑を掛けず、欲をかかず…。欲をかくと、幸せを逃しちゃう可能性がありますから。


取材・文=青木孝司

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