2015年から3度上演した舞台「No.9」に続き、白井晃さん、中島かずきさん、三宅純さんの手掛ける作品に出演できることをとても光栄に思います。
「No.9」で演じたベートーヴェン同様、今回も歴史上に実在した人物、シャルル=アンリ・サンソンを演じます。
フランス革命期という激動の時代に、“死刑執行人“という生まれた時から決められた決して抗うことのできない運命を受け入れ、悩みながらもその仕事にプライドを持って生きてきた人物です。どれだけの重圧を背負っていたのか、今はまだ計り知れませんが、これから稽古を通して創りあげていくことで新しい自分と出会えることが楽しみでもあります。歴史の中で苦悩したサンソンの気持ちに寄り添い、伝えていきたいと思っています。
このような時代だからこそ、サンソンを通じて厳しい運命の中でも目を背けずに希望を見出す姿を皆様にお届けできれば嬉しいです。
白井晃さんの演出、中島かずきさんの脚本でこれだけ大きな舞台に出演できるということで自分自身の熱量が上がっていくのを感じています。そして、子どもの頃から「テレビの向こう側の人」として拝見していた稲垣さんとご一緒できることがとても嬉しいです。
僕の演じるルイ16世はフランス革命期に王位を継承し、最後は死罪となる人物。白井さんの演出で彼の運命がどのように彩られるのか、そしてそれを演じることを楽しみにしています。自分ならではのルイ16世を演じたいと思っています。
死刑執行人でありながら死刑廃止論者だったという孤高の人物を通して、稲垣吾郎さんと共に再び新作を創れる喜びでいっぱいです。
18世紀末のパリに生きたシャルル=アンリ・サンソンの苦悩は、激動の社会で生きる今の私たちと結びつくものが多いと感じています。歴史の闇で、あまり知られることのなかった彼の人生は、この先、私たちが向かうべき指針を与えてくれるようにも思います。私たちの心の平穏はどこにあるのか。そんなことに想いを馳せながら作品創りができたらと考えています。
のちにギロチンと呼ばれることになる断頭台は、実は人道的で人民に平等な死刑を目指して作られた。しかしそれが結果的に恐怖政治の象徴になってしまう。人のためによかれと思って作られたものが、結果的に人の脅威になる。それは現代にも通じる問題だ。
愚直に誠実にパリの死刑執行人を勤め上げたシャルル=アンリ・サンソンという男の人生をたどることで、人はその皮肉とどう対峙できるかを描くことに挑戦してみたい。
世襲の「死刑執行人」という宿命、動乱の時代がもたらす過酷な試練、シャルル=アンリ・サンソンをめぐる数奇な史実を知って、僕は震撼した。パリの街が今までとは違って見えてきた。サンソンの生きた時代、カオスとデカダンス、彼の美学とリリシズムをどうやって音楽に投影するべきか、試行錯誤を繰り返している。白井晃さんの音楽構成案に繰り返し登場する「重低音」というキーワードを濃密に脳内ループさせながら。
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