――ご著書『元女子高生、パパになる』、印象的な素晴らしいタイトルですね。
ありがとうございます。みんなで考えたんですけど、僕は自己紹介で必ず「元女子高生です」って言ってるんですね。色んな言葉の候補を絞って最終的には「元女子高生」と「パパ」という2つの言葉が残りました。これまで小さな一歩を積み重ね、ひとつずつ一人ずつ向き合ってきた結果、想像もできなかった未来にきました。
どのシーンが抜けてもやっぱりパパにはなれなかった。「元女子校生」から「パパになる」って、最初と最後みたいな、間をめっちゃすっ飛ばしてるんですけど(笑)。ここに至るまでの嬉しかったこと悲しかったことも大変だったこともすべてを詰め込んだ1冊なので、当事者の人というよりもむしろ、「そんなの自分とは関係ない」って思ってる人にこそ、読んでもらえると嬉しいなと思います。
――当事者の皆さんと共に、社会が問題解決を進めるには何が一番重要なのでしょうか?
一番はやっぱり法律だと思います。すべての国民は法の下にみんな平等とされているにもかかわらず、婚姻(という法的な平等性を享受)出来る人と出来ない人がいる。国の大きな骨組みである法律に、構造として差別が組み込まれているんです。だから、「国にも認められていない人たちが差別的に扱われたってしょうがないじゃん」と差別偏見がなくならない。
逆に言うとその骨組みさえしっかり元の位置に戻れば、外にある痛みっていうのはある程度自然治癒的になくなっていくと思うんです。マイノリティーの人たちはいないという前提で成り立っている社会のルールを、ちゃんと「そういう人たちっているよね」っていう前提に変えていかないと痛みは取れないんですね。
――マイノリティーの方たちへの支援として、我々が「まず、できること」は何でしょうか?
僕はみなさんに1日1ウェルカミングアウトをお勧めしております。当事者も目に見えませんが、アライ(アライアンス=支援者)も目に見えないので、カミングアウトはいつでもウェルカムなんですよと、ぜひそこの可視化をしていただければと。
大きなアクションということではなく、それこそ「今日の番組テーマがLGBTQだったんだよ」「同性パートナーシップ制度もどんどん広がっていくといいね」など、一言口に出していただくだけでも、SNSでリツイートしていただくだけでも、レインボーシールを携帯に貼っていただくだけでも、全てが「ウェルカミングアウト」です。
きっと皆さんのすぐお近くにいるであろう、でもまだ言えてない人が「この人にだったら言えるかもしれない」という安心感に繋がっていくと思います。当事者からすると「言えない」のと「言わない」のでは全く違いますので、ぜひ安心できる場を作っていただきたいと思います。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)