――改めて話をじっくり聞いてみて、どうでしたか?
当時は小中学生だったので、震災という人生を大きく揺るがす出来事が、どのように彼らの中に残っているのだろうかと不安でした。実際に話してみると、震災に対しての思いが、深く心に刻まれているということがよく分かりました。
ただ苦しい、つらい、深い傷として残っている部分もあれば、震災からつながった人との絆であったり、あたたかい思いであったり、そういったものも、彼らの中に刻まれているんだと分かり、震災が“つらい記憶”だけで終わっていなくて本当によかったなと思います。これは出会った当時には感じられなかったこと。10年という時間が必要だったんだろうなと思いました。
――東日本大震災から10年、どのような思いを伝えたいですか?
コロナ禍で大変なこともあって、震災のことが少し風化してきていないか危惧しています。みなさんの記憶の中から徐々に薄くなってきているかもしれません。もちろん復興ということで、少しずつ町がきれいになり、見える景色が変わっていき皆さんの前に進む力が形となって分かる部分もあります。
そして、今回は被災後に訪れたあの時に感じた「心の復興」が、ようやく少しずつ進んできているのかなと感じました。被災された方の中には、大切な方を亡くされたり、まだまだ前を向くことができない、一歩踏み出せない方もいると思いますが、そういった方々が少しでも進んでいけるように、私たちはずっと向き合っていきたいと思います。
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