広瀬すず、「負けたくない」という思いでカ強く立つヒロイン【てれびのスキマ】

2021/03/03 17:07 配信

芸能一般 コラム

“演技的な運動神経”が抜群


彼女が中2の時にオーディションで対面した大根仁は「会った瞬問から、 この子は大変なことになる」と思った。 その時は役柄的に起用を見送ったが「“演技的な運動神経”が抜群」だと感じ、その後「SUNNY―」(2018年) で彼女を起用した。それを受け、彼女は「オーディションで落とされたことは忘れないぞ、と思ったけど」と笑う(「ライブドアニュース」2018年8月29日)。

「海街diary」で高い評価を受けた彼女は2016年李相日監督の映画「怒り」に出演。だが、今までやってきたものが全く通用しなかった。「全部『そんなんじゃねぇんだよ!』って顔面パンチをもらった感じです。で、なんとか前に進んでも壁があって進めない、 みたいな。でも、そこで倒れたら負けだから、殴られても立っていようって」(「BESTTIMES」2016年9月15日)。

是枝裕和は彼女を「ひとりで立っている子だと思った。なにものにも寄りかからずに誰かにこびることもなく、おもねることもなく自分の足でちゃんと立っている」(「あさイチ」2019年8月30日) と評する。赤ちゃんの頃、 「なんで自分は歩けないんだ」と悔しがり、 1歳で「ひとりでいる自分、 かっこいい」と思った広瀬すず

彼女は「私にはスポ根が合っている」と言うが、まさに彼女の生き様は「スポ根」。少女マンガ原作のヒロインを数多く演じているが、本人は少年マンガの主人公のよう。常に「負けたくない」という思いでカ強くそこに立って戦っている。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2019年11月号