新宿・歌舞伎町のゴジラロードを通り過ぎ、映画館に向かう人波。“物語なんてない”猥雑な街並みと、“物語を求める人間”が一緒くたになった歪な風景を見たとき、ここを舞台にしようと決めた。自分自身、舞台や映画をつくりながら「なぜ、こんな都合がいい出来事ばかりを並べているんだ?」と違和感を感じることがある。歌、小説、絵画といった芸術、あるいはニュース番組…。
「人生は物語だ」という言葉も都合のいい理屈、所詮は自分の人生をドラマチックに彩りたがる人間のエゴで、むしろドキュメンタリー番組だったら使われない部分、人生の残りカスが本質かもしれない。「人間、所詮そんなものだ」という諦念を描くのではなく、「世の中」というもの自体の“あら”や“だらしなさ”のみを抽出し、そこに執着し、キレイごとやメッセージなしで、この世界の矛盾を暴く、そんなことを試みたい。
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